幽静[語句情報] » 幽静

「幽静〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

幽静の前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
義血侠血」より 著者:泉鏡花
って高島田に厚化粧でもあるまい」 かくて白糸は水を聴《き》き、月を望み、夜色の幽静を賞して、ようやく橋の半ばを過ぎぬ。渠はたちまちのんきなる人の姿を認めぬ。何....
」より 著者:夏目漱石
中へ案内された時、宗助は始めて一人遠くに来た心持がした。けれども頭の中は、周囲の幽静な趣《おもむき》と反照《はんしょう》するためか、かえって町にいるときよりも動....
並木」より 著者:島崎藤村
りした八年間の田園生活、奈何《どんな》にそれが原の身にとって、閑散《のんき》で、幽静《しずか》で、楽しかったろう。原はこれから家を挙げて引越して来るにしても、角....
」より 著者:島崎藤村
と、林檎の根のところに蹲踞ったような白とが、互に映り合て、何となくこの屋根の下を幽静な棲居らしく見せた。土塀の外にもカチャカチャ鍋を洗う音などがした。向の高い白....
映画芸術」より 著者:寺田寅彦
插入がいっそうこの沈黙の強度を強めることもわかって来た。一鳥の鳴き声で山がさらに幽静になるという昔の東洋詩人の発見した事が映画家によって新たにもう一度発見され応....
女の話・花の話」より 著者:上村松園
。向うから坊さんが一人、ひょろりと出てくるといったような風情は、なんともいえない幽静な趣きでした。 この花の寺の後ろに小塩山という山がありますが、これが謡にあ....
上野」より 著者:永井荷風
窃《ひそか》に芸妓矢場女の如き者を拉して来る処で、市中繁華の街を離れて稍《やや》幽静なる地区には必《かならず》温泉場なるものがあった。則《すなわち》深川仲町には....
つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
す眺望。世田ヶ谷の町中でもまずこの辺が昔のままの郊外らしく思われる最《もっとも》幽静な処であろう。寺の門前には茶畠を隔てて西洋風の住宅がセメントの門墻《もんしょ....