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幽鬱
「幽鬱〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
幽鬱の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
ッチがら》を捨てている所だったのでございます。
それ以来、私は、前よりもさらに
幽鬱な人間になってしまいました。今まで私を脅《おびやか》したのはただ何とも知れな....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
経って、私が再び内地へ帰って見ると、三浦はやはり落ち着き払った、むしろ以前よりは
幽鬱《ゆううつ》らしい人間になっていたと云うだけです。これは私があの新橋《しんば....
「松江印象記」より 著者:芥川竜之介
たものの一つである。しかも処々に散見する白楊《ポプラア》の立樹は、いかに深くこの
幽鬱《ゆううつ》な落葉樹が水郷の土と空気とに親しみを持っているかを語っている。そ....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
身の感ずる怖れには、始めから反抗のしようがない。彼は、発作が止んで、前よりも一層
幽鬱な心が重く頭を圧して来ると、時としてこの怖れが、稲妻のように、己《おのれ》を....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
まつたい》が向うに見えた。凡《すべ》ての樹《き》が裸かになった中に、この樹だけは
幽鬱《ゆううつ》な暗緑の葉色をあらためなかった。真直な幹が見渡す限り天を衝《つ》....
「爛」より 著者:徳田秋声
を潤していたが、室と口を利くようなことはめったになかった。 室はどうかすると、
幽鬱そうに黙り込んでしまった。 「あなたはほんとに真面目だわ。」 お増はビール....
「惨事のあと」より 著者:素木しづ
のなかにいた。そして親子三人は、何かの不思議な物音、物音というよりもかすかな遠い
幽鬱な響を耳にした。三人の心に冷い総毛立つような気味悪さが流れ込んで来た。楯井さ....
「春」より 著者:豊島与志雄
の後に、一寸何かつけ加えたらいいだろう。」 「それを僕は考えてるんだ。彼はひどく
幽鬱になった……とか、彼ははっと晴々とした気持になった……とか、何かそんな風なこ....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
、彼は常に顔色一つ動かさなかった。そしてマリユスは、そういう際におけるその崇高な
幽鬱《ゆううつ》な顔貌《がんぼう》に対して、自ら驚嘆を禁じ得なかった。
それこ....
「桜花を詠める句」より 著者:杉田久女
すみながら、しかも花の盛りであるのに、自分丈は病身か何かの事情で花見にも行けず、
幽鬱とも不平とも云いしれぬ淋しさが、感じたままに言い放った言外にあふれている。花....
「地上」より 著者:島田清次郎
より実業的であった。容太郎はお信の死後、再生したといってよかった。長い間の奇怪な
幽鬱な肉欲と蒼白な魂の感化から解放された彼に、抑制されていた英雄的な物質主義が生....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
頃は、最も頭の不快な気分に閉ざされるものです。あなたのいつかの妹へのお便りにも、
幽鬱ななやましい気分がもられて見えました。なにとぞからだを大切にして、頭を使い過....
「リラの手紙」より 著者:豊田三郎
てようか旧い記憶を一切捨てて明るい気分に帰ろうかと決心しかけても、病んでいるのが
幽鬱であればある程、青江が恋しくなって、隠しの中にしっかと蔵っていた。扉を開くと....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
一方に不平なきものあれば、他方に不平を有するものあり。この不平不満足の心は、必ず
幽鬱して病患を結び、激発して争乱を醸すに至るべし。しかるに実際上これをみるに、政....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
の大岩が黒ずんだ膚に青苔を蒸して眼前に立ちふさがっていた。木立までが深くなって、
幽鬱な木の下暗に物の朽ちた臭がそこら一面に漂うている。金作を先へ立たして其後につ....