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幾らか
「幾らか〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
幾らかの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
文の小作料も納めなかった。綺麗に納めなかった。始めの間帳場はなだめつすかしつして
幾らかでも納めさせようとしたが、如何《どう》しても応じないので、財産を差押えると....
「東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
歴史の事柄を通しては、こういう風にたまには語り合うことはあった。それが二人の間に
幾らか温かい親しみを感じさせた。 如何《いか》にも街道という感じのする古木の松....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
であった。望遠鏡で見ると(この点に関するハーシェルの研究参照、一八二頁)星雲には
幾らか光った中核がありその周囲を一種の霧のようなものが取り囲んでいる。この霧が中....
「自叙伝」より 著者:大杉栄
嘩がばかに好きで、一銭か二銭かで喧嘩を買って歩くという男だった。この時にもやはり
幾らか出して敵の仲間に入れて貰ったのだ。僕はそいつが気味が悪いのと同時に、憎らし....
「河明り」より 著者:岡本かの子
ても愛しているので、それから牽いて、僕の生みの母親をも愛しはしないかという心配も
幾らかあったらしいのです。こういう気持ちも混った僕への愛から、堺屋のおふくろは、....
「日本脱出記」より 著者:大杉栄
わさを見た。上海の支那人の新聞にも、そうしたうわさを伝えたほかに、ロシアから毎月
幾らかの宣伝費を貰っている、というようなことまでも伝えた。 そして、本年某月某....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
つまらない一|生涯でありました。 でも、今から考えれば、私にはこれでも生前から
幾らか霊覚のようなものが恵まれていたらしいのでございます。落城後間もなく、城跡の....
「獄中消息」より 著者:大杉栄
書いてある。しからばまずこれでいろいろ処分をせねばなるまい。葬式の費用というのは
幾らか知らぬが、これと他の四百円という借金を払い済して、なお東京へ引上げる費用が....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
するから、何もかも売ってしまおうと思うの」 「それはそうだ。タイプライタアなどは
幾らかになるだろう」 「ええ、それから画などもあるし」 「次手にNさん(姉の夫)....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
でもあった。そうこうするうちに自分が人を打ってるような気持になった。――やっぱり
幾らか火照るには違いないが――心は十分満足して勝ち慢って横になった。 彼は睡っ....
「村芝居」より 著者:井上紅梅
舎者にゃわからねえ。全く乃公の豆は、ほかのもんとは比べ物にならねえ。乃公はきょう
幾らか、おばさんのところへ持ってってやるんだ」 彼はそこで櫂を押して過ぎ去った....
「穴」より 著者:岡本綺堂
う事情で建ちぐされのままになっていた空屋敷を、わたしの父がやすく買取って、それに
幾らかの手入れをして住んでいたのであるから、今から考えるとあまり居ごころのよい家....
「豆腐買い」より 著者:岡本かの子
すと死に切れませんでね。そこで死に身になって料簡を逆に取りましてね。 まえから
幾らか酒がいけ、飲むと平常と違ってよくしゃべる女ではあったが今日は加奈子に久しぶ....
「鰯」より 著者:岩本素白
いところから、そう云ったのでもあるまい。やはり芸ごとをやって暮して来た程の人で、
幾らかこういう事も、普通の人とは違った見方が出来るのかと思ったのは、私のまだ年少....
「ベートーヴェンの生涯」より 著者:ヴェーゲラーフランツ・ゲルハルト
だが、僕はその荷の一つへ、僕のいろいろな楽譜を入れて送ろう。そうすれば君の費用が
幾らかでも省けるわけだ。 僕が悦んで話ができ、利害を超えた友情をたのしむことの....