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「幾夜〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

幾夜の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
あらくれ」より 著者:徳田秋声
合をお島に見出《みいだ》されたその女は、その時から頭脳《あたま》に変調を来して、幾夜かのあいだお島たちの店頭《みせさき》へ立って、呶鳴《どな》ったり泣いたりした....
川端康成へ」より 著者:太宰治
の文章があった。「作者目下の生活に厭な雲ありて、云々。」事実、私は憤怒に燃えた。幾夜も寝苦しい思いをした。 小鳥を飼い、舞踏を見るのがそんなに立派な生活なのか....
田舎教師」より 著者:田山花袋
た。 三十 盆踊りがにぎやかであった。空は晴れて水のような月夜が幾夜か続いた。樽拍子が唄につれて手にとるように聞こえる。そのにぎやかな気勢をさび....
」より 著者:徳田秋声
きな半衿のかかった襦袢などを着込んでいた。 遊びに倦みつかれたような浅井には、幾夜ぶりかで寝る、広々した自分の寝室の臥床に手足を伸ばすのが心持よかった。 お....
小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
あんまいふいじゃから卿もびっくいするなもっともっごあすがの、わたしはもうこれまで幾夜も幾晩も考えた上の話じゃ、そんつもいで聞いてたもらんといけませんぞ。 そら....
蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
ものを無理借りする訳には行かぬので、氏郷の軍は奥州の厳冬の時に当って風雪の露営を幾夜も敢てした困難は察するに余りある。斯様いう場合、戦乱の世の民衆というものは中....
男女関係について」より 著者:大杉栄
、またそのことを思うたびに、とても堪えられないほどの苦痛に攻められるのだ。本当に幾夜泣きあかしたか知れない。 野枝さん。 君は、どんなに僕が、保子に対して残....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
が、結句の「妹待つらむぞ」はこの憶良の歌の模倣である。なお「ぬばたまの夜渡る月を幾夜|経と数みつつ妹は我待つらむぞ」(同・四〇六八)というのがあり、共に家持の作....
かくれんぼ」より 著者:斎藤緑雨
ちと単騎|馳せ向いたるがさて行義よくては成りがたいがこの辺の辻占淡路島通う千鳥の幾夜となく音ずるるにあなたのお手はと逆寄せの当坐の謎俊雄は至極御同意なれど経験な....
わが童心」より 著者:佐藤垢石
長老鹿五郎爺の先達で、赤城の中腹にある箕輪村の近くへ、春の用意の薪採りに登って、幾夜も松林のなかへ立てた俄作りの掘立小屋に泊まった。ある年の冬の夜、その小屋の近....
白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
山岳会の大勢の御方の時は、ここと隣りの部屋とにおられました」と語る。親しい友の、幾夜さかを過した座敷かと思うと何となく懐かしい。 着いた時に、パッと明るく障子....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
輪飾があなたをさしまねいた時、 旋風にも譬えつべき、烈しい舞踏をした跡で、 宴に幾夜をも飲み明そうとする時などがそれです。 それとは違って、大胆に、しかも優しく....
春になる前夜」より 著者:小川未明
られたか、見つかりませんでした。ただ、この物悲しい音色は、風に送られて、その後、幾夜も、この広野の空を漂っていたのです。....
古事記」より 著者:太安万侶
に、お歌いなされるには、 常陸の新治《にいはり》・筑波《つくば》を過《す》ぎて幾夜《いくよ》寢《ね》たか。 ここにその火《ひ》を燒《た》いている老人が續い....
美人鷹匠」より 著者:大倉燁子
実の親でなくてどうして育て上げられよう。小夜子の頭には幼い頃からの数々の病気や、幾夜眠らずに附き添って世話をした記憶がつぎつぎと浮んでくる。看護婦にさえ出来ない....