幾年[語句情報] » 幾年

「幾年〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

幾年の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
ると内供はまず、第一に、自分の鼻を撫でて見た。鼻は依然として短い。内供はそこで、幾年にもなく、法華経《ほけきょう》書写の功を積んだ時のような、のびのびした気分に....
老年」より 著者:芥川竜之介
中に、長唄や清元にきく事の出来ないつやをかくした一中《いっちゅう》の唄と絃とは、幾年となくこの世にすみふるして、すいもあまいも、かみ分けた心の底にも、時ならない....
或る女」より 著者:有島武郎
に乗った当座は、しばらくの間は忘れるようにこの不快な痛みから遠ざかる事ができて、幾年ぶりかで申し所のない健康のよろこびを味わったのだったが、近ごろはまただんだん....
小作人への告別」より 著者:有島武郎
督の吉川氏が、諸君の境遇も知悉《ちしつ》し、周囲の事情にも明らかなことですから、幾年かの間氏をわずらわして(もとより一組合員の資格をもって)実務に当たってもらう....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
目には、何の咎、何の罪もない。あなたのような人間を、かえって悪魔は狙うのですよ。幾年目かに朽ちた牡丹の花が咲いた……それは嘘ではありますまい。人は見て奇瑞とする....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
て、私ゃ、あやまって出て行かない。」 と歯をくいしめてすすり泣きつ。 お貞は幾年来独り思い、独り悩みて、鬱積せる胸中の煩悶の、その一片をだにかつて洩せしこと....
世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
かに冷然として死のうという考えが、彼の胸に起こって来た。そこで彼はそれから先きの幾年を諸人の見る前に鬱々と暮らして、あたかも樹木が石だらけの乾枯びた土のなかで静....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
の顔を見なかった、絶代の佳人である。立花は涙も出ず、声も出ず、いうまでもないが、幾年月、寝ても覚ても、夢に、現に、くりかえしくりかえしいかに考えても、また逢う時....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
したのは丁度二十歳の春で山桜が真盛りの時分でございました。それから荒井城内の十|幾年の武家生活……随分楽しかった思い出の種子もないではございませぬが、何を申して....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
活に於てすら然りである。二人の兄弟が、相互の間を幾千万里の海洋によりて隔てられ、幾年幾十年に亘りて、ただの一度も会見の機会なく、しかもその業務がすっかり相違して....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
きぬきに、時々伊豆の湯治に出掛けた。――この温泉旅館の井菊屋と云うのが定宿で、十幾年来、馴染も深く、ほとんど親類づき合いになっている。その都度秘蔵娘のお桂さんの....
雪霊記事」より 著者:泉鏡花
のが、絵に描いた蛍の光を幻に見るようでありました。 夢にばかり、現にばかり、十幾年。 不思議にここで逢いました――面影は、黒髪に笄して、雪の裲襠した貴夫人の....
ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
。デビーは、それは世間見ずの若い考で、数年も経つとその非をさとるだろうと言った。幾年か後に、クロッス夫人がファラデーの実験室に来た時に、学界の空気に感心したと見....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
賃作料したたかにして、堂々たる玄関|構の先生らしいが、そうでない。挙げたのは二十幾年かの間の折にふれた作なのである。第一、一家を構えていない。妻子も何も持たぬ。....
雪柳」より 著者:泉鏡花
杖です。あいつを左腰から帯へ突出してぶら下げた形といっては――千駄木の大師匠に十幾年、年期を入れた、自分免許の木彫の手練でも、洋杖は刀になりません。竹箆にも杓子....