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幾重にも
「幾重にも〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
幾重にもの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「地中魔」より 著者:海野十三
地図の上に、なにやら盛んに線が引張ってある。赤鉛筆で書いた大きい輪が、室町の辺に
幾重にも重っていた。 「すると、どうしても、ここのところが怪しいわけだ」 と三....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
神龕(絹地の包みで、その中へやわらかに包んで奥の院が納めてある)まで達するには、
幾重にもある箱をすっかり開かねばならないことがしばしばあった。その作品が人目にふ....
「火星探険」より 著者:海野十三
階をぶっ通した煙突《えんとつ》のような部屋だった。その艇長の部屋に、複雑な機械が
幾重にも重なりあい、大小さまざまのパイプは魚の腸《はらわた》の如くに見え、紫色に....
「空襲警報」より 著者:海野十三
る係ができ、そしていよいよ全員が手分をして、眼張作業が始まった。紙と布とを飯粒で
幾重にも隙間に張りかさねるのだった。例の紳士も、命ぜられて飯粒を盛んにこねまわし....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
巻だった。杜は咄嗟にそれをピリピリとひき裂くと、赤爛れになっている女の手首の上に
幾重にも捲いてやった。 5 杜がトラックを下りると、お千も突然、あた....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
や、これはまたお耳障り。いや就きまして……令嬢に折入ってお願いの儀が有りまして、
幾重にも御遠慮は申しながら、辛抱に堪えかねて罷出ました。 次第と申すは、余の事....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
まって振向いた。 「髪の毛ですわ……あら、私ンじゃない。」 しごいて、引いて、
幾重にも巻取るようにした指を、離すと、すっと解けて頬を離れる。成程、渚のではない....
「不周山」より 著者:井上紅梅
出して宇宙の中に満ち渡った。 彼女は自分の眼をこすった。 薄紅色の大空には、
幾重にも千切れ千切れの薄緑の浮雲が漂い、星がその後に瞬いて光っては消え、光っては....
「死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
の縛めを解いて、縄の喰入った痕を、血の通うように撫ってやるのであった。 「それは
幾重にも詫びるが、今朝は別して師匠の事が気に掛って何んだか一刻半刻を争うように思....
「荘子」より 著者:岡本かの子
いと申して………」 遜は土間の隅に大きな包みを抱え、うずくまって居る従者を顧み
幾重にもからめた包装を解かせた。 扉のそとの外光を背にした麗姫の活人形が薄暗い....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
りまするが、父も哀れ、わたくしも不憫と思召されて、何とぞ快うお聞き済みのほどを、
幾重にもお願い申しまする。」 小坂部はあらためて手を突いて頼んだ。 「将軍家執....
「夫人利生記」より 著者:泉鏡花
お医師を煩わすほどでもなかった。が、繃帯した手に、待ちこがれた包を解いた、真綿を
幾重にも分けながら。 両手にうけて捧げ参らす――罰当り……頬を、唇を、と思った....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
た幻が裏階子に彳んだり、火の車を引いて鬼が駆けたり、真夜中の戸障子が縁の方から、
幾重にも、おのずからスッと開いて、青い坊さんが入って来たりするのでありますから、....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
月遊歩去、樹下凍風来。(那威行路所見) (八月には欧州の北に旅し、那の山には雪が
幾重にも積もっていた。谷のあたりを歩めば、樹下には凍てつく風が吹いてきたものだっ....
「古事記」より 著者:太安万侶
のだ。 シビがまた歌いますには、 王子樣の御心がのんびりしていて、 臣下の
幾重にも圍つた柴垣に 入り立たずにおられます。 ここに王子がまた歌いますには....