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広やか
「広やか〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
広やかの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
そして気がついてゆるみかかった歩度を早めた。
碁盤《ごばん》のように規則正しい
広やかな札幌の往来を南に向いて歩いていった。ひとしきり明るかった夕方の光は、早く....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
する落日の赤々とした陽光を浴びて、青葉がくれ、葉がくれに、あちらこちらの僧院内の
広やかな広場の庭を三々五々、一団一群、およそ七、八十名ばかりのいずれもすがすがし....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
いったのも、なるほどとうなずかれるのです。 導き入れた一室は、ちり一つない奥の
広やかな客間でした。 「なにから何までがべっぴんだね」 「はい……?」 「いいえ....
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
桑畑の茂り、次ぎな菜畑、大根畑、新たに青み加わるさやさやしさ、一列に黄ばんだ稲の
広やかな田畝や、少し色づいた遠山の秋の色、麓の村里には朝煙薄青く、遠くまでたなび....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
いつまでも見えるあの笠。菩薩も笠を傾けて送り給うと見ゆる。 姫の井の道を、左に
広やかなかやのを見て歩いて行くとまもなく大菩薩西の峠の萩原の小平。珍しやここにま....
「クリスマス・カロル」より 著者:ディケンズチャールズ
うなものを身にまとっていた。この着物は体躯の上にふわりと掛けてあるばかりで、その
広やかな胸は丸出しになっていた。その有様は、さもそんな人工的なものを用いて包んだ....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
ガス》やアーク燈を、荷揚げ、荷おろしの広場に紫っぽく輝かしたりした。構えも大きく
広やかだった。 それにつづいて、見かけは唐物問屋ほど派手ではないが、鉄物――古....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
で弥生の声は、嬉しさと羞《はじ》らいをごっちゃにして、今にも消え入りそうだった。
広やかな道場の板敷き、正面に弓矢八幡の大|額《がく》の下に白髪の小野塚鉄斎がぴた....
「田原氏の犯罪」より 著者:豊島与志雄
らのものを一望のうちにじっと見守っている田原さんの心には、いつも同じような穏かな
広やかなものが残された。都会も之を鳥瞰すれば、そして安定な心で鳥瞰すれば、それは....
「旅だち」より 著者:豊島与志雄
だ数ヶ月たったばかりですし、結婚などということは心にぴたりとこず、たゞ漠然とした
広やかな自由な呼吸に胸をふくらましているのでした。副島さんの家で先方の人と会った....
「つづれ烏羽玉」より 著者:林不忘
て金をくっている。 何の間、かにの間とそれぞれ用途によって名があるのであろう。
広やかな座敷がいくつもならんでしいんと墓場のよう、きのう人のいたけはいなぞはみじ....
「イプセン百年祭講演」より 著者:久保栄
の故郷に帰らなかった。この間のコスモポリタンとしての生活が、実に彼の社会的視野を
広やかな豊かなものとし、彼の作品のテーマに一般的な普遍性を与えたわけです。で、放....
「親木と若木」より 著者:小川未明
けれど、たくさんに頭を出した子孫が、みんな幸福であろうはずがなかったのです。
広やかな庭のひなたの方に芽を出したものは、自由に伸びることはできたけれども、反対....
「春さきの古物店」より 著者:小川未明
広やかな通りには、日の光が暖かそうにあたっていました。この道に面して、両側には、....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
を横走する太い線の一つ一つには、流石に隠し切れない力が籠ってはいるが。今夜はあの
広やかな原の一端に天幕を張って、穏かな夢を結びたいものだと思った。 双眼鏡で一....