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「広場〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

広場の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
の中にかすかに息づいている自然を愛した。三十年前の本所は割り下水の柳を、回向院の広場を、お竹倉の雑木林を、――こう言う自然の美しさをまだ至る所に残していた。彼は....
保吉の手帳から」より 著者:芥川竜之介
》そうだが、どうも仕方がない。 保吉はとうとう小径伝いに玄関《げんかん》の前の広場へ出た。そこには戦利品の大砲が二門、松や笹の中に並んでいる。ちょいと砲身に耳....
或る女」より 著者:有島武郎
まげた》をつっかけて葉子は雨の中を玄関から走り出て倉地のあとを追った。そこにある広場には欅《けやき》や桜の木がまばらに立っていて、大規模な増築のための材料が、煉....
クララの出家」より 著者:有島武郎
った。窓からは、朧夜の月の光の下に、この町の堂母なるサン・ルフィノ寺院とその前の広場とが、滑かな陽春の空気に柔らめられて、夢のように見渡された。寺院の北側をロッ....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
ゃんと乗る。…… 「湊屋だえ、」 「おいよ。」 で、二台、月に提灯の灯黄色に、広場の端へ駈込むと……石高路をがたがたしながら、板塀の小路、土塀の辻、径路を縫う....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
、扱帯ばかり、花片ばかり、葉ばかりぞ乱れたる。 途端に海のような、真昼を見た。広場は荒廃して日久しき染物屋らしい。縦横に並んだのは、いずれも絵の具の大瓶である....
縁結び」より 著者:泉鏡花
狭間の森の中なる、額堂を抜けて、見晴しへ出て、もう一坂越して、草原を通ると頂上の広場になる。かしこの回向堂を志して、ここまで来ると、あんなに日当りで、車は母衣さ....
黒百合」より 著者:泉鏡花
描けるがごとき人の姿は、薄りと影を引いて、地の上へ黒い線が流るるごとく、一文字に広場を横切って、竹藪を離れたと思うと、やがて吹流しに手拭を被った婦人の姿が顕れて....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
。 演芸館の旗は、人の顔と、頭との中に、電飾に輝いた。……町の角から、館の前の広場へひしと詰って、露台に溢れたからである。この時は、軒提灯のあと始末と、火の用....
凧の話」より 著者:淡島寒月
初春の江戸の空は狭きまでに各種の凧で飾られたものである。その時分は町中でも諸所に広場があったので、そこへ持ち出して揚げる。揚りきるとそのまま家々の屋根などを巧み....
幸福のうわおいぐつ」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
服をとなえながら、右も左もみかえらずに、参事官はずんずん東通をとおりぬけて、高橋広場にでました。ところが宮城広場へ出る大きな橋がみつかりません。やっとあさい小川....
人魚のひいさま」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
のが、なかでもおそろしいことにおもわれました。 やがて、ひいさまは、森のなかの広場のぬるぬるすべる沼のような所へ来ました。そこには脂ぶとりにふとった水へびが、....
親ごころ」より 著者:秋田滋
果して自分の息子だということが分るだろうか。二人はそう思うと心もとない気がした。広場という広場、往来という往来は、一つ残らず歩いてみた。人だかりのしているところ....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
が著しく低くなって、一杯の潮は凸に溢れるよう。左手は洲の岬の蘆原まで一望|渺たる広場、船大工の小屋が飛々、離々たる原上の秋の草。風が海手からまともに吹きあてるの....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
を著た男が一人最新化学応用の目薬というものを売りつけていた。この「天神様」の裏の広場も僕の小学時代にはなかったものである。しかし広場の出来た後にもここにかかる見....