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「広小路〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

広小路の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
開化の良人」より 著者:芥川竜之介
縞の背広だったのです。ですから私は雨の脚を俥の幌に弾《はじ》きながら、燈火の多い広小路《ひろこうじ》の往来を飛ぶように走って行く間も、あの相乗俥《あいのりぐるま....
或る女」より 著者:有島武郎
ったんですから前も後《あと》もよくはわからないんですけれども、大時計のかどの所を広小路《ひろこうじ》に出ようとしたら、そのかどにたいへんな人だかりですの。なんだ....
婦系図」より 著者:泉鏡花
念の眼を閉じて首垂れた。 「早瀬、」 「は、」 「降りるんだ。」 一場展開した広小路は、二階の燈と、三階の燈と、店の燈と、街路の燈と、蒼に、萌黄に、紅に、寸隙....
妖術」より 著者:泉鏡花
、一面の薄墨へ、色を飛ばした男女の姿。 風立つ中を群って、颯と大幅に境内から、広小路へ散りかかる。 きちがい日和の俄雨に、風より群集が狂うのである。 その....
田端日記」より 著者:芥川竜之介
して、こちらは十円と云った。誰がそんなふくれっ面の香炉を買うものか。 それから広小路で、煙草と桃とを買ってうちへ帰った。歯の痛みは、それでも前とほとんど変りが....
暗号の役割」より 著者:海野十三
その都度本部へ報告を送った。 “袋猫々が、周章てて自動車で外出しました” “上野広小路で買物をしました。旅行鞄を買い、食料品を買い、トランプを買いました” “上....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
なった池の波は、ざわざわとまた亀甲を聳てる。 といううちに、ふと風が静まると、広小路あたりの物音が渡って来て、颯と浮世に返ると、枯蓮の残ンの葉、折れた茎の、且....
梵雲庵漫録」より 著者:淡島寒月
事にまで取り入れられたほど名高いものである。 二 それから両国の広小路辺にも随分物売りがいたものだった。中で一番記憶に残っているのは細工飴の店で....
凧の話」より 著者:淡島寒月
飾り凧とされている。これは江戸の頃、秋山正三郎という者がこしらえたもので、上野の広小路で売っていたのである。その頃この広小路のすが凧売りの錦絵が出来ていたと思っ....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
は、この道順にちょっとない。 そこで、どこよりも清水だったが、待った、待った。広小路の数万の電燈、靄の海の不知火を掻分けるように、前の俥を黒門前で呼留めて「上....
三枚続」より 著者:泉鏡花
に引いて、威勢よく卓子の上に置いた、愛吉は汚れた浴衣の腕まくりで、遠山金之助と、広小路の麦酒ホールの一方を領している。 「五六杯|引掛けておきゃ、半分は酒が手伝....
雪柳」より 著者:泉鏡花
れたのか、煙草入がありません。小遣ぐるみ。あッと慌てたが、それだけじゃ済まない。広小路のあの群集の中で、しょぼしょぼと監督の前へ出されたのですが、突出したとは言....
西航日録」より 著者:井上円了
ウィングリ翁の遺跡あり。翁所住の寺は当所第一の大伽藍なり。その傍らにツウィングリ広小路と名づくる所あり。 チューリヒ見物の帰路、バーデン(Baden)と名づく....
私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
りとそこを出たが、私には行先がない。疲れ切ってとぼとぼ歩くうち、出てきたのは上野広小路の教会の前である。私はわれを忘れて教会へはいっていき、信徒にまぎれて後方の....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
十五年に生れた僕は勿論日清役の事を覚えていない。しかし北清事変の時には太平という広小路(両国)の絵草紙屋へ行き、石版刷の戦争の絵を時々一枚ずつ買ったものである。....