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広漠
「広漠〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
広漠の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
が遺《のこ》されていると主人は語った。 私はそれよりも宗長という連歌師が東国の
広漠たる自然の中に下ってもなお廃残の京都の文化を忘れ兼ね、やっとこの上方《かみが....
「初めて見たる小樽」より 著者:石川啄木
ごうしょ》以来人の足跡つかぬ白雲落日の山、千古斧入らぬ蓊鬱《おううつ》の大森林、
広漠《こうばく》としてロシアの田園を偲《しの》ばしむる大原野、魚族群って白く泡立....
「最終戦争論」より 著者:石原莞爾
軍が真の決戦軍隊となるとき、初めてその障害が全く力を失うのである。 即ち土地の
広漠な東洋に於ては、両戦争の時代性が明確であると言い難いが、強国が相隣接し国土も....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
われている北方シナの社会的思想とは対比的に相違があるということである。中国はその
広漠たることヨーロッパに比すべく、これを貫流する二大水系によって分かたれた固有の....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
って、バスは、寂寥を護って呉れる団欒的な乗りものだった。この点では、電車は、まだ
広漠とした感じを与えた。 バスは、ときどき揺れて、呟き声や、笑い声を乗客に立て....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
に、車や家畜をふくめた長蛇の列が、イギリス駐屯軍の軍用電線にそうて、蟻塚がならぶ
広漠たる原野を横ぎってゆく。土の反射と、直射で灼りつくような熱気には、騾の幌車に....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
てくる。 そこからは、かつての北極踏破者ピアリーが名付けたという、中部浮氷群の
広漠たる塊氷のなか。やがて、“Kangek”岬を過ぎ、“Upernavik”島を....
「近時政論考」より 著者:陸羯南
時共和主義なりとまでに難じたるごとくにはあらず、彼自由主義を主張することかくまで
広漠なりしも、あえてにわかに君主政を廃して共和政をなすの主義にはあらざりき、むし....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
とんど無辺際に投げたのです、と言った。 ――汽車は赤城山をその巽の窓に望んで、
広漠たる原野の末を貫いていたのであった。―― 渠は電信技師である。立野竜三郎と....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
ような白いほの/″\とした花を指さゝれた。音に聞くシャン・ゼリゼーの通りが余りに
広漠として何処に風流街の趣きがあるのか歯痒ゆく思えた。一箇月、食事附百フランで置....
「家なき子」より 著者:楠山正雄
と同様に、わたしたちの日は遠い秋霧の中に消えている地平線まで届いていた。ひたすら
広漠と単調が広がっている灰色の野のほかに、なにも目をさえぎるものがなかった。 ....
「南極の怪事」より 著者:押川春浪
備えしものなるが、その二本はなかほどより折れて、これまた帆とともに行方を知らず、
広漠たる船上に残るはただ一本の大檣のみ、この大檣は甲板の中部にあり、檣上より一面....
「百喩経」より 著者:岡本かの子
思うような日が幾日も続いた。太陽だけが日に一つずつ空に燃えて滓になった。 この
広漠たる沙漠のなかを案内者は杖を振り先頭に立って道を進めた。自信のある足取で行路....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
、アカシカ、マダラシカ、アナグマ、イノシシやらを思いのままに狩り出すことのできる
広漠たる狩猟場の真ん中に建っていた。青年は、狩猟を楽しみ、男らしいあらゆるスポー....
「西航日録」より 著者:井上円了
、やや東洋的の風あり。余、獅子が岡(Lion hill)に登りて望見するに、四面
広漠たる一大原野にして、麦田のほかに、村落の遠近に碁布せるを見る。実に大軍を動か....