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広縁
「広縁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
広縁の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「夢十夜」より 著者:夏目漱石
《くく》りつけられた子は、暗闇《くらやみ》の中で、細帯の丈《たけ》のゆるす限り、
広縁の上を這《は》い廻っている。そう云う時は母にとって、はなはだ楽《らく》な夜で....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
透したろうと驚いたその目の色まで、歴然と映っている。 姿見の前に、長椅子一脚、
広縁だから、十分に余裕がある。戸袋と向合った壁に、棚を釣って、香水、香油、白粉の....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
。今のうちに取っておきましょうから、おいでなせえまし」 いざなっていった所は、
広縁側の柱の蔭の、いかさま見張るには恰好な場所でした。そのまにもひとり二人、五人....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
探しているところじゃ。待たっしゃい。待たっしゃい。いや、あれじゃ、あれじゃ。あの
広縁を廻っていった奥の座敷がたしかにそうじゃ」 息をころして忍びよると、容子や....
「老中の眼鏡」より 著者:佐々木味津三
した由にて宿居の方々只今追うて参りまして厶ります!」 さっと立ち上ると、だがお
広縁先まで出ていったその足取りは実に静かだった。 同時に庭先の向うで、バタバタ....
「黴」より 著者:徳田秋声
ぐ山の木の繁みの見えるところで、家の周りを取り繞らした築土の外は田畑が多かった。
広縁のゆっくり取ってある、廂の深い書院のなかで、たまに物を書きなどしていると、青....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
傾いた月の光は地を這うて、本堂の縁は闇い蔭になって居る。やっと安息の場所を獲て、
広縁に風呂敷を敷き、手枕をして横になった。少しウト/\するかと思うと、直ぐ頭の上....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
いたまま、もうそのことは忘れたように、ふたたび、卓上の書物へ眼をおとしていると、
広縁のそとの庭先に、二、三人の跫音がからんで、 「殿、連れてまいりましたが――」....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
から、それがこの広座敷の主人のようで、月影がぱらぱらと鱗のごとく樹の間を落ちた、
広縁の敷居際に相対した旅僧の姿などは、硝子障子に嵌込んだ、歌留多の絵かと疑わるる....
「牛乳と馬」より 著者:豊島与志雄
囲気だったようだ。あとでは、お姉さまの病室の方も開け放しになっていて、お姉さまは
広縁の方に出て、脇息にもたれて褥に座っていらした。小野田さんとも話をなさったに違....
「無法者」より 著者:豊島与志雄
植込みには、常緑樹の葉が黒々と静まり返っていた。 長い縁側をちょっと折れ曲った
広縁の片隅の、毛氈を敷いて小卓に籐椅子が据えてあるところで、志村は、今井房代夫人....
「窓にさす影」より 著者:豊島与志雄
するような気分だった。廊下の曲り角で、柱につかまってちょっと佇んだ。すぐ前方の、
広縁の籐椅子のところに、母とN叔父さんの話声がしていた。 「少し落着いたら、縁談....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
でもいいような気になって、すっかり落ちついてしまった。 夕飯は、茶の間の涼しい
広縁で、大勢と一緒だった。漆塗の餉台が馬鹿に広くて、鏡のように光っているのが、先....
「塩花」より 著者:豊島与志雄
人はいなかった。彼はそこに、碁客のそばに、置きざりにされた形になった。 近く、
広縁のところで、話し声がした。「落葉樹の森」という言葉が山口の注意を惹いた。声に....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
「よろしい」
池上は、赤い顔をして、眼を光らせて、植込みの中を、曲って行った。
広縁のところへ来ると、一人が、縁側へ手をついて
「召連れました」
と、いった。....