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広蓋
「広蓋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
広蓋の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
づくあたりを見回した。そして部屋《へや》のすみにある生漆《きうるし》を塗った桑の
広蓋《ひろぶた》を引き寄せて、それに手携《てさ》げや懐中物を入れ終わると、飽く事....
「西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝」より 著者:三遊亭円朝
明けて上へあがり、擦附木でランプへ火を点し、鍋焼饂飩の荷の間から縁のとれかゝった
広蓋を出し、其の上に思い付いて買って来た一升の酒に肴を並べ、其の前に坐り、 又「....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
亭主帳場から背後向きに、日和下駄を探って下り、がたりびしりと手当り強く、そこへ
広蓋を出掛ける。ははあ、夫婦二人のこの店、気の毒千万、御亭が出前持を兼ねると見え....
「源氏物語」より 著者:紫式部
へ院がおいでになった。宮が平生に違って寂しそうに手紙を読んでおいでになり、漆器の
広蓋などが置かれてあるのを、院はお心に不思議に思召されたが、それは御寺から送って....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
し》へ手をやって、 「いや、まったく……あれじゃ、だれだって迷います。罪な面だ」
広蓋へ小鉢物と盃洗をのせて持ち出して来た小間使へ、用はないと手を振って、 「……....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
なく、爪はずれよく足高膳《あしたかぜん》に錫のちろりをのせて持ちだし、つづいて、
広蓋《ひろぶた》に小鉢やら丼やら、かずかずと運んで来て膳の上にならべる。 顎十....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
人で、したがってそのため資産を滅ぼしたが、それでも三井の物産の方に関係し、楠の大
広蓋などを納めて相当立派にやっていたのでした。一方、萩原吉兵衛氏は、身体が弱かっ....
「港の妖婦」より 著者:田中貢太郎
、己がどうかしているためかも判らないと思った。彼は恐ろしかった。 島田髷の女が
広蓋に入れて料理を搬んで来てテーブルの前に置いた。 「私はとうに戴きましたから、....
「雨夜続志」より 著者:田中貢太郎
入って来た。もう一切の物を二階のあがり口へ持って来てあると見えて、こんろの後から
広蓋に入れた肉や銚子などを持って来た。鍋の中ではもう汁が煮たっていた。 「この間....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
を積んで、 「オオ寒い、まだ降ってるよ」 とあわてて重い戸を閉める。 朱塗の
広蓋へ、ゆうべの皿小鉢や徳利をガチャガチャさせて、またそこへ、だらしのない女が二....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
た三十前後の武家で、 「なんの、父|重明が伺うべきでございますが」 と、そこへ
広蓋に載せた種々な音物に、一|嚢の砂金まで贈っていた。幕府内の有力な者が地方へ出....
「春泥」より 著者:久保田万太郎
ャブ台がひろげられ、おますが西崎を手伝わせ、そのうえにならべる夕食のしな/″\を
広蓋にのせて運んで来た。――とも/″\、かれも、茶箪笥をあけて箸箱を出したり、鉄....