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底
「底〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
底の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
て来ました。
ところが不思議な事には、それと同時に、雲で埋《うず》まっている谷
底から、一陣の風がまき起りますと、その風の中に何かいて、
「髪長彦さん。難有《あ....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
架《くるす》に懸《かか》り死し給い、石の御棺《ぎょかん》に納められ給い、」大地の
底に埋められたぜすすが、三日の後《のち》よみ返った事を信じている。御糺明《ごきゅ....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
わら》の火鉢の上にかざした。金網《かなあみ》をかけた火鉢の中には、いけてある炭の
底に、うつくしい赤いものが、かんがりと灰を照らしている。その火気を感じると、内蔵....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
とに暮れて行くイタリアの水の都――バルコンにさく薔薇《ばら》も百合《ゆり》も、水
底《みなそこ》に沈んだような月の光に青ざめて、黒い柩《ひつぎ》に似たゴンドラが、....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
もちの明《あかる》くなった洋一は、顔は叔母の方へ近づけたまま、手は袂《たもと》の
底にある巻煙草の箱を探っていた。
「そら、そこに東枕にてもよろしいと書いてありま....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
い気がした。
「ええ、全くやり切れませんよ。何しろ沖へ泳いで行っちゃ、何度も海の
底へ潜《もぐ》るんですからね。」
「おまけに澪《みお》に流されたら、十中八九は助....
「飯田蛇笏」より 著者:芥川竜之介
渡りの術に長じた奸物らしい気がしていた。「いやに傲慢な男です」などと云う非難は到
底受けそうもない気がしていた。それだけに悪口を云われた蛇笏は悪口を云われない連中....
「狂女」より 著者:秋田滋
り、小さな冷肉の片を口のところまで持っていって食べさせてやったりしていた。絶望の
底にあるこの魂のなかでは、どんなことが起っていたのだろう。それは知るよしも無かっ....
「墓」より 著者:秋田滋
かな、あんなに柔かく、あんなに白くあんなに美しかった肉体が、地下に埋められた棺の
底で腐ってゆくことを考えたのであります。肉体はこうして朽ち果ててしまう。しかして....
「初雪」より 著者:秋田滋
に自分はどうか。名ばかりながら今は生きながえらえている哀れなこの五体は、柏の柩の
底に、経帳子にしようと自分が選んでおいたあの絹衣につつまれた白骨をとどめるのみで....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
一八二四年に公表された。フランスのアラゴは良好な羅針盤を作って、磁針を入れる箱の
底に純粋の銅。 そこで、アラゴの考えるには、銅が磁針の運動を止めるからには、反....
「寡婦」より 著者:秋田滋
の頃十七でした。 この少年サンテーズが、どんなに驚くべき早熟の子であったか、到
底それは御想像もつきますまい。愛情というもののありと凡ゆる力、その一族の狂熱とい....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
悪戯気たっぷりというほうで、悪気はあまりなく、強制的で荒っぽいのにもかかわらず、
底には滑稽な茶目な色合いが強かった。彼には自分とそっくりな仲間が三、四人いて、み....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
事とした。詐欺師や殺人犯人達にとって、彼ほど怖いものは無かった。という訳は、心の
底にかくしている考を見破られ、一と眼で肚の中をすっかり見られてしまうからであった....