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底光り
「底光り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
底光りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「竜」より 著者:芥川竜之介
の向うにある猿沢《さるさわ》の池を見下しました。が、池はもう温《ぬる》んだらしい
底光りのする水の面《おもて》に、堤をめぐった桜や柳を鮮にじっと映したまま、いつに....
「或る女」より 著者:有島武郎
頭がぐらぐらッとして、おびただしい鼻血が貞世の胸の合わせ目に流れ落ちた。
九
底光りのする雲母色《きららいろ》の雨雲が縫い目なしにどんよりと重く空いっぱいには....
「或る女」より 著者:有島武郎
ぞかせた、燃えるような緋《ひ》の帯上げのほかは、ぬれたかとばかりからだにそぐって
底光りのする紫紺色の袷《あわせ》、その下につつましく潜んで消えるほど薄い紫色の足....
「無名作家の日記」より 著者:菊池寛
が、続くわけはないと思ったからである。が、俺の安心はすぐ裏切られた。手堅くしかも
底光りのするあいつの技巧が、またぐんぐん俺をやっつけてしまった。ことに主題《テー....
「世相」より 著者:織田作之助
唇の両端が窪み、耳の肉は透きとおるように薄かった。睫毛の長い眼は青味勝ちに澄んで
底光り、無口な女であった。 高等学校の万年三年生の私は、一眼見て静子を純潔で知....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
のもののように尖っている。やや生え際の抜け上った額は眉弓が高く、灰色の眼が異様な
底光りを湛えていて、眼底の神経が露出したかと思われるような鋭い凝視だった。そして....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
守に金銀を鎧った諸侯なるに対して、これは赤合羽を絡った下郎が、蒼黒い魚身を、血に
底光りしつつ、ずしずしと揺られていた。 かばかりの大石投魚の、さて価値といえば....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
何でも御殿女中は御殿女中で、薄ら蒼いにどこか黄味がかった処のある衣物で、美しゅう
底光りがしたと申す。これはな、蟇の色が目に映って、それが幻に出たらしい。 して....
「初恋」より 著者:国木田独歩
の親をむやみにばかなんて!』と僕はやっきになった。 『黙れ! 生意気な』と老人は
底光りのする目を怒らして一喝した。そうすると黙ってそばに見ていた孫娘が急に老人の....
「絶景万国博覧会」より 著者:小栗虫太郎
が変って来ると、室の四隅からは、はや翳りが始まって来る。鴨居が沈み、床桂に異様な
底光りが加わって来て、それが、様々な物の形に割れ出して行くのだ。すると、唯でさえ....
「壁の眼の怪」より 著者:江見水蔭
て、ジッとこちらを凝視している一つの眼。それは別段大きくはないのだけれど、いやに
底光りがして、何とも云えない凄味が差すのであった。その怪しき眼と直芳との眼とがバ....
「春」より 著者:岡本かの子
ぼやけて居た。二三丁|距てた表の電車通りからも些の響も聞えて来なかった。ぼやけて
底光りのする月光が地上のものを抑え和めていた。 京子の頭上の電燈は、先刻加奈子....
「むかでの跫音」より 著者:大倉燁子
るのかも知れない、と思うと少々気まりが悪るくもなるのだった。 暫時すると先生は
底光りのする眼に微笑をたたえながら、軽い咳を一つして、徐ろに云った。 「あなたは....
「機密の魅惑」より 著者:大倉燁子
冗談のように云うのですが、そういう話をする時の有喜子の態度も真剣なら、真黒い眼が
底光りがしてきて何とも云えず凄いのです。私は何となく薄気味が悪るくてなりません。....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
動揺する瀑の水よりも、其下に湛えた藍色の水に恐る可き秘密の力が籠っている。私達は
底光りのする青黒い淵を覗いて今更のように怖れ戦いた。 漏斗の縁は六尺許りの懸崖....