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「底力〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

底力の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
た、むしろいかついという体格で、皮のたるんだ手や足にも、どこかまだ老年に抵抗する底力が残っている。これは顔でも同じことで、下顎骨《かがくこつ》の張った頬のあたり....
」より 著者:芥川竜之介
。 「私《わたし》の家《うち》へかけてくれ給え。」 陳の唇を洩れる言葉は、妙に底力のある日本語であった。 「誰?――婆や?――奥さんにちょいと出て貰ってくれ。....
校正後に」より 著者:芥川竜之介
もそれを実際に使わないようなことになっては、たいへんだと思う。 ○絶えず必然に、底力強く進歩していかれた夏目先生を思うと、自分のいくじないのが恥かしい。心から恥....
或る女」より 著者:有島武郎
いころに、窓に近い舷《げん》にざあっとあたって砕けて行く波濤《はとう》が、単調な底力のある震動を船室に与えて、船はかすかに横にかしいだ。葉子は身動きもせずに目に....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
までのそのそ歩いて行って、出来るだけ小さく窮屈そうに坐りこんだ。 「何しに来た」底力のある声にもう一度どやし付けられて、仁右衛門は思わず顔を挙げた。場主は真黒な....
星座」より 著者:有島武郎
学校だからかまわないといえばかまわないことだが……今日は少しはいいの」 澄んで底力のある声が、清逸の眼にだんだん明瞭な姿を取ってゆく園の方から静かに響いた。健....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
暗になってしまった。自然は何かに気を障えだしたように、夜とともに荒れ始めていた。底力のこもった鈍い空気が、音もなく重苦しく家の外壁に肩をあてがってうんな家屋とい....
二十五年間の文人の社会的地位の進歩」より 著者:内田魯庵
人になった。日本の文人は好い加減な処で忽ち人生の見巧者となり通人となって了って、底力の無い声で咏嘆したり冷罵したり苦笑したりする。 小生は文学論をするツモリで....
浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
た。 「そうさ。大きな声ではいえないが、連盟脱退後の日本艦隊はどこまで強いのか、底力の程度がわからないてえことだぜ」 機関士官は、だいぶん恐日病にかかっている....
古狢」より 著者:泉鏡花
、魚の鰭は萌黄に光った。 「力は入るね、尾を取って頭を下げ下げ、段々に糶るのは、底力は入るが、見ていて陰気だね。」 と黒い外套を着た男が、同伴の、意気で優容の....
南地心中」より 著者:泉鏡花
で、主人の一分が立つと思うか。(五百円や三百円、)と大な声して、(端金子、)で、底力を入れて塗りつけるように声を密めて……(な、端金子を、ああもこうもあるものか....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
私はぎょっとした。 つい目の前を、足に絡んだ水よりは色の濃い、重っくるしい底力のあるのが、一筋、褐色の鱗を立ててのたっているのが、向う岸の松原で、くっきり....
春昼後刻」より 著者:泉鏡花
でしょうと思いますよ。 と、その細い、幽な、空を通るかと思う雨の中に、図太い、底力のある、そして、さびのついた塩辛声を、腹の底から押出して、 (ええ、ええ、え....
ドモ又の死」より 著者:有島武郎
うんと高く売りつけてやるんだなあ。 沢本 そうすると、俺たちはうんと飯を食って底力を養うことができるぞ。 青島 そうだ。 沢本 ああ早く我らの共同の敵なる....
二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
めて重々しく一語々々を腹の底から搾り出すように話した。口の先きで喋べる我々はその底力のある音声を聞くと、自分の饒舌が如何にも薄ッぺらで目方がないのを恥かしく思っ....