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底意地
「底意地〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
底意地の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
り震えを帯びた冷ややかな言葉が田川夫人から葉子に容赦もなく投げつけられた。それは
底意地の悪い挑戦的《ちょうせんてき》な調子で震えていた。田川|博士《はかせ》はこ....
「癩」より 著者:島木健作
冷たい氷のようなものが太田の背筋を走った。その男の立っている姿を見ただけで、何か
底意地のわるい漠然《ばくぜん》たる敵意が向うに感ぜられるのだが、太田は勇気を出し....
「伸子」より 著者:宮本百合子
ることよ」 祖母は、老年で震える指先に針を持ってめどを通しながら、年とった女の
底意地わるさで、 「俺がおとよさんだったら、四十越して嫁《むか》さるなんぞ厭だな....
「猿面冠者」より 著者:太宰治
要求どおりに黙って二百円送ってよこした。彼はその書留を受けとったとき、やはり父の
底意地のわるさを憎んだ。叱るなら叱るでいい、太腹らしく黙って送って寄こしたのが気....
「惜別」より 著者:太宰治
るようであった。その頃の周さんは、あの夏休み直後の、ひやりとするくらいの、へんに
底意地の悪いような表情はしなくなっていたが、それでも、何か私たちと隔絶された世界....
「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」より 著者:宮本百合子
ういう種類の諷刺が、ほんとの諷刺としてうけとれず、そこにブルガーコフの傍観主義や
底意地のわるい嘲弄を感じたのは、むしろ自然であった。 大体、文学をこめてのプロ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
「宇津木」 「うむ」 「お前を尋ねて、お客様が来たよ」 「うむ」 丸山勇仙は
底意地悪そうな、そうしてイヤに、ていねいに女に向って、 「さあ、どうぞ、こちらへ....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
厭々《いやいや》ながらやりつづけた。叱責《しっせき》はすぐにやってきた。彼は最も
底意地悪い機嫌《きげん》をそれに対抗さした。最もいけなかったことには、ある晩、隣....
「街はふるさと」より 著者:坂口安吾
の名刺をとりだして見た。名刺持参の者に御引見の栄をたまわりたし。見れば見るほど、
底意地のわるさが伝わってくる。破り捨てようとしかけたが、大切に、ハンドバッグへし....
「番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
御奉公していれば、なにも勤めにくいことはない。うわべはおとなしそうに見せかけて、
底意地のわるい人達の多いところに奉公しているよりも、こうした御屋敷の方が結句気楽....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
いう工合で、どうも師弟の仲が好くないのでありました。 政吉という人は、別に深く
底意地の悪いというほどの人ではないが、妙に大事の場合などになるとその時をはずして....
「『七面鳥』と『忘れ褌』」より 著者:佐藤垢石
知らない医師共が、何の理解もなく傍らへ近づいて行った途端、七面鳥が持ち前の癇癪と
底意地の発揮に会い、鋭い嘴に襲撃されて周章狼狽の体を見たい、というのにあったので....
「キャラコさん」より 著者:久生十蘭
。 姉の槇子よりは二つしたの二十一で、姉ほど美しくはないが、そのかわり、もっと
底意地のわるい顔をしている。年よりは老《ふ》けた沈んだ色のウールのブラウスをきて....
「キャラコさん」より 著者:久生十蘭
いから、もう、快遊船《ヨット》にいらっしゃらないのだと思っていましたわ」 と、
底意地の悪いことをいう。 イヴォンヌさんは、負けていない。 「あたしたちが、ま....
「艶色落語講談鑑賞」より 著者:正岡容
「いかん」「できん」「落ちん」人種のパリパリだった。しかしまた彼のことにすると、
底意地の悪い、オールドミス揃いの奥女中たちに睨まれては大変と思ったからだろう、さ....