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底流
「底流〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
底流の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「自分だけの世界」より 著者:辻潤
派」のイディアリズムの勃興である。その二個の精神の争闘の間に抑圧せられながらも、
底流として存在する別個の精神にロマンティシズムがある。更に最近に於て著しく台頭し....
「錯覚した小宇宙」より 著者:辻潤
りに常識的なのを軽蔑したいのである。これには儒教(孔子の説に非ず)の影響が多分に
底流になっていることと思うが、英米の所謂ブルジョアジイの似非《えせ》偽善的な紳士....
「灯台鬼」より 著者:大阪圭吉
る千島寒流が、この岬の北方数浬の地点で北上する暖流の一支脈と正面衝突をし、猛悪な
底流れと化して汐巻岬の暗礁地帯に入り、ここで無数の海底隆起部にはばまれて激上する....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
機として、もはや人間の世界には希望を絶たれてしまったからだ。あの物凄じい黒死館の
底流――些細な犯罪現象の個々一つ一つにさえ、影を絶たないあの大魔力に、事件の動向....
「惜別」より 著者:太宰治
風、その伝統は決して中断されるものではありません。東洋本来の道義、とでも言うべき
底流は、いつでも、どこかで生きているはずです。そうしてその根柢の道において、私た....
「鴎外・芥川・菊池の歴史小説」より 著者:宮本百合子
をおいて達観すれば、やがて、そのような主観と客観との噛み合いを作家としての歴史の
底流をなす社会的なものへの判断で追究し整理するより、現象そのままの姿でそれを再現....
「現代唯物論講話」より 著者:戸坂潤
い。
文化上の常識によると、ヒューマニズムこそは近代文化・近世思想・の概括的な
底流なのである。ルネサンス以来、文化・思想・の圧倒的な本流はここにあるのだと考え....
「後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
犯人の特徴を指摘出来るものではない。今も云った通り、屍体の謎を貫いている凄まじい
底流なんだ、つまり殺人技巧の純粋理論なんだが、その軌道以外には、この変種が絶対に....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
。覚えていらっしゃるかしら、歩きながら。 今年の冬、私たちは冬をそういうような
底流れの感情ですごすのではないでしょうか。今年私たちのまる五年目の生活は随分はり....
「狼疾記」より 著者:中島敦
に酔っていた時でも、今のような消極的な独り居の生活を営んでいる時でも、常に、この
底流の小さな響がパスカル風な伴奏となって、何処からともなく聞えていたのである。こ....
「作品の倫理的批評」より 著者:豊島与志雄
いる作者の生きた息吹きである。即ち作品中に取扱われた人物なり事件なりの背景をなし
底流をなす作者の主観である。私は、その主観に対する倫理的批評をも求めたいのである....
「俳優倫理」より 著者:岸田国士
君は或はそういう見方のなかで育ち、そういう見方のなかで仕事をしている結果、世間の
底流をなしている部分に、まだ俳優の職業に対する誤った観念が厳然と残っているという....
「美の日本的源泉」より 著者:高村光太郎
の恐ろしい約束である。 背後に蔚然たる五山文学の学芸あり、世は南北朝の暗澹たる
底流の上に立って興廃常なき中に足利義満等の夢幻の如き栄華は一時に噴火山上の享楽を....
「二十歳のエチュード」より 著者:原口統三
、単に文字によって書かれたものを意味するに止まるものではない。いわばそれは文学に
底流するかの情感、すべての人間の弱さ、惨めさ、醜さを超えて行こうとする人間精神の....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
が起り「革命」と称せられるけれども、その時でさえよく観察すれば人の意識しない間に
底流は常に大きな動きを為しているのである。 ソ連邦革命は人類歴史上未曽有の事が....