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度を失う
「度を失う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
度を失うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
いなした。それがあたりまえの時ならば、どれほど多くの人にじろじろと見られようとも
度を失うような葉子ではなかったけれども、たった今いまいましい新聞の記事を見た葉子....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
っちがどう勝ったのか負けたのか、たしかに見ていたはずなのが自分らにもわからないで
度を失うているのを、中村一心斎は真中へ進み出で、 「この立合、勝負なし、分け!」....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
め居る。ロメーンズは諸家の説を審査した後、ある動物は蛇に睥まれて精神混乱し、進退
度を失うて逃れぞこない、蛇の口に陥り、また蛇近く走り行くのだろうと言った。 川....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
お浜の直ぐ枕許《まくらもと》へ落ちました。お浜は驚いて枕を上げて打とうとすると、
度を失うた鼠は、お浜の乳房と、ちょうど抱いて寝ていた郁太郎の面《かお》の間へ飛び....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
してやろうとたくらんだらしく、屏風の蔭、炬燵の後ろにひそみ隠れていて、主が帰って
度を失う呼吸が少しばかり見てやりたいという気持になったのでしょう。 政どんはこ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
た。
なあに――百の野郎とても、相当に悪党がる奴なんですから、僅か百両や百貫で
度を失うような真似《まね》はしたくはないのですが、何をいうにも、前には大物と踏ん....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
らといって、ちょっとは手も足も、口も出すことができないのです。 しかし、一度は
度を失うてなさん様を知らなかった人だかりも、いつまでもこうして馬鹿な顔をして、当....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
眼と、囁く口が、自分の方にばかり向いているように思われて、お君は、ここへ来てから
度を失うようにオドオドしていました。 連れて来られた女中たちは、そんなことは知....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
神尾主膳は、福村の手によって頻《しき》りに介抱されています。介抱している福村は、
度を失うてあわてきっているのがあまりに大仰《おおぎょう》です。 「早く、何とかし....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
六 だが、お角さんとても、驚くべきものは驚きもするけれども、驚いてそうして、
度を失うお角さんではありません。直ちに平常心を取戻して、案内役の小坊主を、ちょっ....
「戦争論」より 著者:坂口安吾
その正しさ、ひろさ、あたゝかさは、家の子供にはないものである。 人間は、家の制
度を失うことによって、現在までの秩序は失うけれども、それ以上の秩序を、わがものと....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
けきらぬうちにどこかへ捨ててしまおうと車にひいて街へでたが、悪事には馴れていても
度を失うと日ごろのような気転がない。捨て場に窮しているうちに、お巡りさんにつかま....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
殊な病状を会葬者に語りきかせてごまかさなければならなかった。 かほどの大事件に
度を失うことがなく振舞ったという女丈夫の未亡人が、万引せずにいられない妙な病気が....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
きた。そして、第二の問いに対しても正しく返答することにのみ心をきめた聡明な人の態
度を失うことはなかった。 侍女の姿はさらに第二の侍女の姿に変っていたが、それを....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
は、と窮るをまた追っかけ、汝を心に立てようか乃至それでも不足か、と烈しく突かれて
度を失う傍にて女房が気もわくせき、親方様の御異見になぜまあ早く付かれぬ、と責むる....