座前[語句情報] »
座前
「座前〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
座前の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
電燈ばかり明るくてポンペイの廃墟の様に寂しい銀座の通りを歩いて東へ折れ、歌舞伎
座前を築地の方へ往った。万年橋の袂に黙阿弥の芝居に出て来そうな夜啼饂飩が居る。夜....
「惜別」より 著者:太宰治
いた。東一番丁の夜のにぎわいは格別で、興行物は午後の十一時頃までやっていて、松島
座前にはいつも幟が威勢よくはためいて、四谷怪談だの皿屋敷だの思わず足をとどめさす....
「インターナショナルとともに」より 著者:宮本百合子
まっている。 物売も出ていない。 午後になると往来はだんだん混みはじめ、芸術
座前の狭い通りは歩道一杯の人だ。みると芸術座の入口に特別はり札が出ている。 本....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ました。
そうして置いて、弁信を舟から助け出したのですが、その時に弁信は、もう
座前へ置いた琵琶を頭高《かしらだか》に背負いこんで、杖をつき立てていました。
....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
居小屋がやけて芝居小屋がたつのに、そんなかわりがあるかといいたいほど代った。明治
座前に竈河岸《へっついがし》へかけて橋がかかった。川を離れてその橋じりへまで、芝....
「初冬の日記から」より 著者:寺田寅彦
りもなく云えるまでに到達していない自分を認識することが出来たのであった。 明治
座前で停ると少女は果して降りて行く、そのあとから自分も降りながら背後から見ると、....
「KからQまで」より 著者:寺田寅彦
いう気がして来るのである。 十 四、五月頃に新宿駅前から帝都
座前までの片側の歩道にヨーヨーを売る老若男女の臨時商人が約二十人居た。それが、七....
「築地の川獺」より 著者:田中貢太郎
は後もどりであるけれども、築地橋の方に往き、それから今の電車通りを曲って、歌舞伎
座前から釆女橋を渡って帰って往くのであった。 某夜、築地の待合へ客に呼ばれて往....
「魔像」より 著者:林不忘
に立って縁から上った山城守は、ずッと書院へ通って、足で座蒲団を直して坐った。その
座前《まえ》に、こんもりした萌黄《もえぎ》の風呂敷包が、恭しく供えてあるのだ。 ....
「洗いづくりの世界」より 著者:北大路魯山人
しが、いつの間にか弱い風をはらんだ夕闇と交替する。働いた汗がさっぱりと拭われて、
座前おもむろに一膳が置かれる。酒を伴わすとも、また伴わずとも、まず箸をつけてみた....
「山椒魚」より 著者:北大路魯山人
それゆえにこそ、名実ともに珍味に価すると言えよう。 大分前の話になるが、旧明治
座前の八新の主人が、山椒魚料理の体験談を聞かせてくれたことがある。その話の中で、....