座蒲団[語句情報] » 座蒲団

「座蒲団〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

座蒲団の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
や、昼寝かえ。」 洋一はそう云う叔母の言葉に、かすかな皮肉を感じながら、自分の座蒲団《ざぶとん》を向うへ直した。が、叔母はそれは敷かずに、机の側へ腰を据えると....
海のほとり」より 著者:芥川竜之介
創作のことを指《さ》すのだった。 Mの次の間《ま》へ引きとった後《のち》、僕は座蒲団《ざぶとん》を枕にしながら、里見八犬伝《さとみはっけんでん》を読みはじめた....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
祈念でも凝らしているように見えたそうです。 さて次の間へ通った新蔵は、遠慮なく座蒲団を膝へ敷いて、横柄《おうへい》にあたりを見廻すと、部屋は想像していた通り、....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
皮が敷きつめられていて、障子《しょうじ》に近い大きな白熊の毛皮の上の盛上るような座蒲団《ざぶとん》の上に、はったんの褞袍《どてら》を着こんだ場主が、大火鉢《おお....
小さき者へ」より 著者:有島武郎
ますとすぐ病院に行ってみた。然し病室はからっぽで、例の婆さんが、貰ったものやら、座蒲団やら、茶器やらを部屋の隅でごそごそと始末していた。急いで家に帰ってみると、....
星座」より 著者:有島武郎
いさんの処ではそんな心配は無用だったから園はなぐさめられたのだ。彼は持ちだされた座蒲団の処にいって坐った。おぬいさんは机の上の読みさしの本を慌てて押し隠すような....
婦系図」より 著者:泉鏡花
ようかと思う。どうだろう、君、迷惑をするだろうか。」 と甘えるような身体つき、座蒲団にぐったりして、横合から覗いて云う。 「何が迷惑さ。君の身体で、御自分お出....
絵本の春」より 著者:泉鏡花
二十一史、十三経|注疏なんど本箱がずらりと並んだ、手習机を前に、ずしりと一杯に、座蒲団に坐って、蔽のかかった火桶を引寄せ、顔を見て、ふとった頬でニタニタと笑いな....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
ら式、……いや、もうここで結構と、すぐその欄干に附着いた板敷へ席を取ると、更紗の座蒲団を、両人に当てがって、 「涼い事はこの辺が一等でして。」 と世話方は階子....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
う指を、と支えた態の、巻莨から、音もしないで、ほろほろと灰がこぼれる。 捻平|座蒲団を一膝出て、 「いや、更めて、熟と、見せてもらおうじゃが、まずこっちへ寄ら....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
。亭主、号が春狐であるから、名だけは蘭菊とでも奢っておけ。 春狐は小机を横に、座蒲団から斜になって、 「へーい、ちっとも知らなかった。」 「私もさ……今ね、内....
縁結び」より 著者:泉鏡花
そうです、確にそう云った事を覚えているよ。」 お君は敷けと云って差出された座蒲団より膝薄う、その傍へ片手をついたなりでいたのである。が、薄化粧に、口紅濃く....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
背向になったが、庖丁を取出すでもなく、縁台の彼方の三畳ばかりの住居へ戻って、薄い座蒲団の傍に、散ばったように差置いた、煙草の箱と長煙管。 片手でちょっと衣紋を....
良夜」より 著者:饗庭篁村
て張りたる襖しとやかに明きて清げなる小女茶を運び出でたり。忝けなしと斜に敷きたる座蒲団よりすべりてその茶碗を取らんとするとき、女はオオと驚くに予も心付きてヤヤと....
大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
ぶしさ堪えがたかりしも、川風そよそよと衣袂を吹き、また汗を拭う要無し。 仕掛、座蒲団などを舳の間に持ち往きて、座を定め、水色を見ながら、錐打ち鈴刺す快心、得も....