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庫裡
「庫裡〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
庫裡の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「文章」より 著者:芥川竜之介
。が、今は門の中は葬列の先に立って来た学校の生徒に埋《うず》められている。保吉は
庫裡《くり》の玄関に新しいエナメルの靴《くつ》を脱《ぬ》ぎ、日当りの好《い》い長....
「捨児」より 著者:芥川竜之介
冬、世間は日清戦争の噂に湧き返っている時でしたが、やはり十六日の説教日に、和尚が
庫裡《くり》から帰って来ると、品《ひん》の好《い》い三十四五の女が、しとやかに後....
「樗牛の事」より 著者:芥川竜之介
王樹《だいはおうじゅ》が、青い杓子《しゃくし》をべたべたのばしながら、もの静かな
庫裡《くり》を後ろにして、夏目先生の「草枕《くさまくら》」の一節を思い出させたの....
「親子」より 著者:有島武郎
所に薄ぼんやりと灯が点された。燻製の魚のような香いと、燃えさしの薪の煙とが、寺の
庫裡のようにがらんと黝ずんだ広間と土間とにこもって、それが彼の頭の中へまでも浸み....
「出家とその弟子」より 著者:倉田百三
がれたのが多うございます。 親鸞 おっつけ木の葉も落ちるようになるだろう。 唯円
庫裡の裏のあの公孫樹の葉が散って、散って、いくら掃いても限りがないって、庭男のこ....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
学円 御免下さいよ。 百合 真に見苦しゅうございます。 学円 これは――お寺の
庫裡とも見受ません。御本堂は離れていますか。 百合 いいえ、もう昔、焼けたと申し....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
、粉煙草を、三度ばかりに火皿の大きなのに撮み入れた。 ……根太の抜けた、荒寺の
庫裡に、炉の縁で。…… 三 西明寺――もとこの寺は、松平氏が旧領....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
れから――無住ではない、住職の和尚は、斎稼ぎに出て留守だった――その寺へ伴われ、
庫裡から、ここに准胝観世音の御堂に詣でた。 いま、その御廚子の前に、わずかに二....
「死者の書」より 著者:折口信夫
しずかに しずかに雲はおりて来る。万法蔵院の香殿・講堂・塔婆・楼閣・山門・僧房・
庫裡、悉く金に、朱に、青に、昼より著く見え、自ら光りを発して居た。 庭の砂の上に....
「夫人利生記」より 著者:泉鏡花
く旅情を催させて、故郷なれば可懐しさも身に沁みる。 峰の松風が遠く静に聞えた。
庫裡に音信れて、お墓経をと頼むと、気軽に取次がれた住職が、納所とも小僧ともいわず....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
られる者が住むのです。私は二等室をもらいましたが、なかなか立派なもので部屋一つに
庫裡一つ、それから物置が一つある。誠に小綺麗な二階造り、三階の所もありますが、私....
「大力物語」より 著者:菊池寛
見えなくなった。僧正はおかしいと思いながら周囲を見たが、どこにもいない。それで、
庫裡の方へ行って、人を呼んだ。法師達が出て来ると、(今、わしを剥ごうとする者がい....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
傾き暗い底の方へ沈んで行った。見るもの聞くもの地獄の姿に外ならなくなった。夕ぐれ
庫裡へ行燈の油を取りに行く僧も、薬石と名づけられる夕飯を取り囲んで箸を上げ下げし....
「父の出郷」より 著者:葛西善蔵
て、叫んだ。……老師さん!……老師さん!……老師さん!……さらに反響がなかった。
庫裡に廻って電灯の明るい窓障子の下に立って耳を傾けたが、掛時計のカッタンカッタン....
「父の葬式」より 著者:葛西善蔵
ちょっと目をしばたたきながら言った。 六つ七つの時祖母につれられてきた時分と、
庫裡の様子などほとんど変っていないように見えた。お彼岸に雪解けのわるい路を途中花....