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「庭下駄〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

庭下駄の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
げつつ座敷へ引込んだ。 少々|極が悪くって、しばらく、背戸へ顔を出さなかった。庭下駄を揃えてあるほどの所帯ではない。玄関の下駄を引抓んで、晩方背戸へ出て、柿の....
婦系図」より 著者:泉鏡花
田が、わざとらしい堅気づくり。袷をしゃんと、前垂がけ、褄を取るのは知らない風に、庭下駄を引掛けて、二ツ三ツ飛石を伝うて、カチリと外すと、戸を押してずッと入る先生....
妖術」より 著者:泉鏡花
で水は見えず、忽然として舳ばかり顕われたのが、いっそ風情であった。 カラカラと庭下駄が響く、とここよりは一段高い、上の石畳みの土間を、約束の出であろう、裾模様....
幽霊妻」より 著者:大阪圭吉
方のお調べによると、旦那様のところへやって来た恐ろしいものは、明らかに、一人で、庭下駄を履いて来たというのでございます。それは表門の近くの生垣を通り越して、玄関....
自叙伝」より 著者:大杉栄
つ見えた。子供等はみな「あら」と言ったままおびえてしまった。 母はすぐに立って庭下駄をはいて下りて行った。僕等は黙ってそれを見送っていた。 「さあ、みんなここ....
鷭狩」より 著者:泉鏡花
の女中とは思うが、すばらしい中年増だ。」 手を洗って、ガタン、トンと、土間穿の庭下駄を引摺る時、閉めて出た障子が廊下からすッと開いたので、客はもう一度ハッとし....
古狢」より 著者:泉鏡花
亭構えで、筧の流れ、吹上げの清水、藤棚などを景色に、四つ五つ構えてあって、通いは庭下駄で、おも屋から、その方は、山の根に。座敷は川に向っているが、すぐ磧で、水は....
南地心中」より 著者:泉鏡花
よと見た、見る目も彩な、お珊の姿が、それまでは、よわよわと気病の床を小春日和に、庭下駄がけで、我が別荘の背戸へ出たよう、扱帯で褄取らぬばかりに、日の本の東西にた....
石塀幽霊」より 著者:大阪圭吉
勝手門からすぐに右へ折れて、前庭の植込から母屋へ続く地面の上に点々と続いている。庭下駄の跡だ。非常に沢山ついている。 調査の結果、大体その庭下駄の跡は、四本の....
月の夜がたり」より 著者:岡本綺堂
大きい欅の下に十人あまりの植木屋があつまって、何かわやわや騒いでいた。梶井の父も庭下駄をはいて立っていた。 この社は、前の持主の時代からここに祭られてあったの....
百喩経」より 著者:岡本かの子
、彼は頬のふくれ返った微笑の顔を母家の方へ向けた。途端に巻子が帰って来た。提げた庭下駄を下に並べる間もなく作太郎の顔を見て彼女は驚いていった。 「あなた。どうか....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
うなっては、葉がくれに、紅いのがぶら下っていようも知れないと、跣足でも出る処を、庭下駄があったんです。 暗夜だか、月夜だか、覚えていません。が、松の樹はすやす....
註文帳」より 著者:泉鏡花
り、 「さぞまあ、ねえ、どうもまあ、」とばかり見惚れていたのが、慌しく心付いて、庭下駄を引かけると客の背後へ入交って、吹雪込む門の戸を二重ながら手早くさした。 ....
雪柳」より 著者:泉鏡花
いと――お七の処、磴が急で、ちらりと搦むのが、目につくと、踵をくびった白足袋で、庭下駄を穿いていました。」 ――筆者はその時、二人の酒席の艶かな卓子台の上に、....
魔性の女」より 著者:大倉燁子
朱雀門から庭の茶席へ通された。 数寄を凝らした部屋を物珍しそうに眺めていると、庭下駄の音をわざと大きくたてながら、先刻の女中がお銚子とビールにちょっとしたつま....