庭中[語句情報] »
庭中
「庭中〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
庭中の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大島が出来る話」より 著者:菊池寛
もっと大きい打撃を受けた人がまだ沢山あった。夫は無論近藤氏一家の人々であった。家
庭中心であった近藤氏の家庭では、夫人は一家の太陽であった。夫の近藤氏が、政党の首....
「岩石の間」より 著者:島崎藤村
、 「宅じゃこの通り朝顔狂《あさがおきちがい》ですから、小諸へ来るが早いか直ぐに
庭中朝顔鉢にしちまいました――この棚は音さんが来て造ってくれましたよ――まあこん....
「青水仙、赤水仙」より 著者:海若藍平
出ません。 ある日、学校から帰ってすぐにお庭に来てみると、大変です。お父様がお
庭中をすっかり掘り返して、畠にしておいでになります。そうしてうた子さんを見ると、....
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
の胸のあたりへ附着くように仔雀が飛上る。尾を地へ着けないで、舞いつつ、飛びつつ、
庭中を翔廻りなどもする、やっぱり羽を馴らすらしい。この舞踏が一斉に三組も四組もは....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
と、白い、肥った、脚の短い豚が死物狂いに成って、哀しく可笑しげな声を揚げながら、
庭中逃げ廻っていた。子供まで集って来た。追うものもあれば、逃げるものもあった。肉....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
かたがた末の娘もつれて、晩飯を食べに行ったのは。美事な孟棕の植込みを遠景にして、
庭中に漫々とたたえた水のなかの岩組みに水晶|簾の滝がかかっていて、ちょうどそれが....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
だが女の力。
夕方|縁の籐椅子に腰かけて、静に夕景色を味う。苅あと青い芝生も、
庭中の花と云う花も蔭に入り、月下香の香が高く一庭に薫ずる。金の鎌の様な月が、時々....
「怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
臥竜梅へ梅見に出かけましたが、梅見れば方図がないという譬の通り、未だ慊たらず、御
庭中の梅花を拝見いたしたく参りました」 米「それは宜く入らっしゃいました、まア何....
「嬰寧」より 著者:田中貢太郎
なことなんでもないわ。親類の間柄ですもの、兄さんがお帰りの時、老爺を呼んで来て、
庭中の花を大きな篭へ折らせて、おぶわしてあげますから。」 王はいった。 「馬鹿....
「掠奪せられたる男」より 著者:豊島与志雄
庭の中心になるんだわね。それに、夏間は凉しくてほんとにいいわ。池が一つあるために
庭中が凉しくなるような気がするのよ。私あれに暫くしたら、金魚を一杯放してやるつも....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
釣瓶《つるべ》一杯をからにして、娘は更に二杯目を汲み、次に三杯目を汲んだ。そして
庭中に水をやった。
そのようにして、破れ裂けた肩掛けを角張った両腕の上にうち振....
「花子の陳述」より 著者:豊島与志雄
うとしています。早く燃やしてしまわなければ、すっかり盗まれます。手伝って下さい。
庭中に撒き散らして、火事のようにして下さい。」 そして暫く、美津子さんは燃え上....
「秘密の庭」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
じてる勝手口を発見した。半月刀のような月は嵐の名残の雲を払いつくして皎々たる光を
庭中の隅々に投げていた。彼はその時青い服を着た丈の高い姿が芝生を横ぎって主人の書....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
、調理の場所、無数の建物が描かれてあり、そういう建物をグルリと取り巻いた、前庭後
庭中庭などの、変化縦横の庭園の様が、同じく精巧に描かれてあった。と、一所に築山が....
「狐」より 著者:永井荷風
知らと疑いもしたのであった。 午飯《ひるめし》が出来たと人から呼ばれる頃まで、
庭中の熊笹、竹藪の間《あいだ》を歩き廻って居た田崎は、空しく向脛《むこうずね》を....