庭先[語句情報] »
庭先
「庭先〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
庭先の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
らない腹の虫を、むりにおさめようとして、骨を折った。
日の光をいっぱいに浴びた
庭先には、葉の裂けた芭蕉《ばしょう》や、坊主になりかかった梧桐《あおぎり》が、槇....
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
わ》しいのを見れば、世の常の坊主ではありますまい。第一こう云う大雪の夜《よ》に、
庭先へ誰か坊主《ぼうず》が来ている、――それが不思議ではありませんか? わたしは....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
御云いつけなさいましたが、翌朝は※々《そうそう》あの老爺《おやじ》を、朝曇りの御
庭先へ御召しになって、
「こりゃ平太夫、その方が少納言殿の御恨《おうらみ》を晴そ....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
字を読み下した。
「ヤスケニシヨウカ」
保吉は十円札を膝の上へ返した。それから
庭先の夕明りの中へ長ながと巻煙草の煙を出した。この一枚の十円札もこう云う楽書の作....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
宅は御蔵橋《おくらばし》の川に臨んだ、極《ご》く手狭な平家《ひらや》だった。ただ
庭先から川向うを見ると、今は両国停車場《りょうごくていしゃじょう》になっている御....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
海水帽に貸下駄《かしげた》を突っかけ、半町ほどある海へ泳《およ》ぎに行った。道は
庭先をだらだら下りると、すぐに浜へつづいていた。
「泳げるかな?」
「きょうは少....
「或る女」より 著者:有島武郎
高くこうこうとかかっていた。
二人を迎えた竹柴館の女中は倉地を心得ていて、すぐ
庭先に離れになっている二間《ふたま》ばかりの一軒に案内した。風はないけれども月の....
「守の家」より 著者:伊藤左千夫
をかんでくれた。 お松は其時もあまり口はきかなかった。自分はお松の手を離れて、
庭先へ駈け出してから、一寸《ちょっと》振りかえって見たら、お松は軒口に立って自分....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
してはござるが、怪しい事が重なるかして、お顔の色も、日ごとに悪い。 と申せば、
庭先の柿の広葉が映るせいで、それで蒼白く見えるんだから、気にするな、とおっしゃる....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
香までも商っている婆さんが来て、瓦鉢の欠けた中へ、杉の枯葉を突込んで燻しながら、
庭先に屈んでいるが、これはまたお雪というと、孫も子も一所にして、乳で育てたものの....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
ばこそ、と思えば、自ずと先立つものは泪でございました。 不図気がついて見ると、
庭先まで案内の労を執ってくだすった母の指導役のお爺さんは、いつの間にやら姿を消し....
「真夏の夢」より 著者:有島武郎
事ができるようになっておりました。だからもし大きなむすこが腹をたてて帰って来て、
庭先でどなりでもするような事があると、おばあさんは以前のような、小さい、言う事を....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
皆言い合わせたように一度に空中へ逃げのぼって行った。…… 僕は妻の実家へ行き、
庭先の籐椅子に腰をおろした。庭の隅の金網の中には白いレグホン種の鶏が何羽も静かに....
「一老人」より 著者:犬田卯
っていた。 するとそこへ四郎右衛門の老爺が再びのこのことやって来るのであった。
庭先に立てられた「祝出征……」の旒を、彼はつくづくと見上げていたが、やがてまた、....
「錦紗」より 著者:犬田卯
た。――ひょっとすると、持って出たつもりでも、持たずに出てしまったのか……彼女は
庭先へ入って家の中をうかがった。――誰もいないでくれればいいが……だが、喘息気味....