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庭前
「庭前〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
庭前の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
を幸福にする為には?――しかし瑣事を愛するものは瑣事の為に苦しまなければならぬ。
庭前の古池に飛びこんだ蛙は百年の愁を破ったであろう。が、古池を飛び出した蛙は百年....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
縁に横たわる躯《むくろ》のひややかなる脚《あし》に跌《つまず》きて、ずでんどうと
庭前《にわさき》に転《まろ》び墜《お》ちぬ。渠は男の甦《よみがえ》りたるかと想い....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
先にきこえた風雨の声もやんだ。 夜が明けると、駅の役人らもおいおいに出て来て、
庭前に拝礼した。 「昨日あなたがお出でになるのを知って、打ち揃ってお迎いに出る途....
「絵本の春」より 著者:泉鏡花
どれになって、まだ動いていまする、とおのが手足を、ばたばたと遣りながら、お目通、
庭前で斬られたのさ。 いまの祠は……だけれど、その以前からあったというが、その....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
らば、御僧。この人夢の覚めぬ間に、と片手をついて、わかれの会釈。 ト玄関から、
庭前かけて、わやわやざわざわ、物音、人声。 目を擦り、目を※り、目を拭いいる客....
「妖僧記」より 著者:泉鏡花
戸のある方に行き、言葉より先に笑懸けて、「暖き飯一|膳与えたまえ、」と巨なる鼻を
庭前へ差出しぬ。 未だ乞食僧を知らざる者の、かかる時不意にこの鼻に出会いなば少....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
もなさそうに心強い。 そこをあちこち、覗いたり、視たり、立留ったり、考えたり、
庭前、垣根、格子の中。 「はてな。」 屋の棟を仰いだり、後退りをまたしてみたり....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
附添って、散々苦労をしてくれました。で、私の臨終が近づきました時には、私は若月を
庭前へ召んで貰って、この世の訣別を告げました。『汝にもいろいろ世話になりました…....
「お住の霊」より 著者:岡本綺堂
この隠居が悟って、お定まりの嫉妬から或日の事、主人の殿が不在を幸いに、右のお住を
庭前へ引据えて散々に折檻し、その半死半生になったのをそのままに捨て置いた。で、お....
「沼畔小話集」より 著者:犬田卯
った。誰一人訪れるものもない家、ひっそりと静まりかえって、晩秋の淋しい陽射しに、
庭前の雑草の花のみがいたずらに咲きほこっている草葺家の中に、彼女はひとり閉じこも....
「平家蟹」より 著者:岡本綺堂
注連を張れり。中央の出入り口にはやぶれたる簾を垂れたり。下の方もおなじく板羽目。
庭前の下のかたに丸太の門口、蠣殻の附きたる垣を結えり。垣のそとには松の大樹ありて....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
。下座敷の十畳、次に六畳の離れづくりで、広い縁は、滑るくらい拭込んでありました。
庭前には、枝ぶりのいい、大な松の樹が一本、で、ちっとも、もの欲しそうに拵えた処が....
「迷信解」より 著者:井上円了
寺の住僧、ある夜深更まで読書し、精神大いに疲労を覚えしかば、しばらく休憩せんとて
庭前を仰ぎ見るに、折しも宵月夜のころなれば、月もはや落ちて暗かりけるが、縁の端に....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
ていない。が、何だか沈着いても居られないので、市郎は洋服身軽に扮装って、兎も角も
庭前へ降立った。 「今日は先ず何地の方面から捜して見ようか。」 頬を吹く雨後の....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
入りたるを覚ゆ。数日前、山上に降雪ありたりという。電車にて市外に往返せるに、各戸
庭前に数種の菊花を栽培せるありて、車上観菊の遊をなすを得たり。 思ひきや同じ月日....