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「庭樹〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

庭樹の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
恋を恋する人」より 著者:国木田独歩
もの。」 「それは面白い。」 「きっと面白い。」 と話しながら石の門を入ると、庭樹の間から見える縁先に十四五の少女《おとめ》が立っていて、甲乙《ふたり》の姿を....
老妓抄」より 著者:岡本かの子
払い捨ててやり 「こっちにあるから、いらっしゃいよ。さあね」 ふと鳴って通った庭樹の青嵐を振返ってから、柚木のがっしりした腕を把《と》った。 さみだれが煙る....
二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
……で、もとの飛石の上へ伏せ直した。 母鳥は直ぐに来て飛びついた。もう先刻から庭樹の間を、けたたましく鳴きながら、あっちへ飛び、こっちへ飛び、飛騒いでいたので....
田舎教師」より 著者:田山花袋
ことがわかった。いずれも主僧が東京にいたころの友だちである。 清三の室は中庭の庭樹を隔てて、庫裡の座敷に対していたので、客と主僧との談話しているさまがあきらか....
蒲団」より 著者:田山花袋
ない、友人と語り合っても面白くない、外国小説を読み渉猟っても満足が出来ぬ。いや、庭樹の繁り、雨の点滴、花の開落などいう自然の状態さえ、平凡なる生活をして更に平凡....
古狢」より 著者:泉鏡花
内々で、一抱き柔かな胸を抱込んだろう。……ばかりでない。はじめ、連立って、ここへ庭樹の多い士族町を通る間に――その昔、江戸護持院ヶ原の野仏だった地蔵様が、負われ....
雪たたき」より 著者:幸田露伴
に関らず、三阿僧祇劫の長さでもあるようだった。 「チュッ、チュッ、チュ、チュッ」庭樹に飛んで来た雀が二羽三羽、枝遷りして追随しながら、睦ましげに何か物語るように....
初夏(一九二二年)」より 著者:宮本百合子
机や 水鉢の金魚 貴方は白い浴衣を着 今は書籍の前に 今は 縁に 又は水を打った庭樹の面を いかにも東洋人の安易さを以て ひっそりと打眺めて居られるでしょう。 ....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
勤務していた。 四月二十七日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(木村荘八筆「庭樹」の絵はがき)〕 四月二十七日、只今丹前を送り出します。あれをかってかえ....
わかれ」より 著者:国木田独歩
み細き流れの北の方より走り来て庭を貫きたり。流れの岸には紅楓の類を植えそのほかの庭樹には松、桜、梅など多かり、栗樹などの雑わるは地柄なるべし、――区何町の豪商が....
後の業平文治」より 著者:三遊亭円朝
を反して奥の方へ逃込みました。何をするか知らぬと思う間もなく、三日半も干乾にして庭樹の枝に縛り付けてあった囚人目がけてズドンと一発放つや否や、キャッという叫び声....
夕凪と夕風」より 著者:寺田寅彦
さである。この圧迫するような感じを救うためには猿股一つになって井戸水を汲み上げて庭樹などにいっぱいに打水をするといい。葉末から滴り落ちる露がこの死んだような自然....
植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
眺められ棄てたものではないと感ずる。 ユズリハは諸州の山地に自生があるが、また庭樹としても植えられてある。また葉柄は時に淡紅色のものもあればまた淡緑色のものも....
三枚続」より 著者:泉鏡花
それへ差出す折から、縁側に跫音して、奥の方から近いたが、やがてこの座敷の前の縁、庭樹を籠めて何となく、隣家のでもあるか蚊遣の煙の薄りと夏の夕を染めたる中へ、紗で....
夕立」より 著者:永井荷風
るを知るに足る。 わが断腸亭|奴僕《ぬぼく》次第に去り園丁来る事また稀なれば、庭樹|徒《いたずら》に繁茂して軒を蔽い苔は階《きざはし》を埋め草は墻《かき》を没....