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廃兵
「廃兵〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
廃兵の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「いのちの初夜」より 著者:北条民雄
的人間として亡びるだけではありません。そんな浅はかな亡び方では決してないのです。
廃兵ではなく、廃人なんです。けれど、尾田さん、僕らは不死鳥です。新しい思想、新し....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
ては却って幸いであったかもしれない。 帰り路に虎渓橋の上でカーキ色の軍服を着た
廃兵に逢った。その袖には赤十字の徽章をつけていた。宿に帰って主人から借りた修善寺....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
名高いアラジンが晶燈《ランプ》さえ点《とぼ》せば現れた如意使者、グリンムの童話の
廃兵が喫烟《きつえん》するごとに出て、王女を執り来った使者鬼など、万事主人の命に....
「戦話」より 著者:岩野泡鳴
の肩を振って見せたが、腕がないので、袖がただぶらりと垂れていた。「帰って来ても、
廃兵とか、厄介者とか云われるのやろう。もう、僕などはあかん」と、猪口を口へ持って....
「平和への荷役」より 著者:宮本百合子
あった。これら三つの戦争は、そのときどきの英雄大将を生みつつ一方では日本の街頭に
廃兵の薬売りの姿を現出し、一将功なって万骨枯る、の思いを与えた。けれどもそれらの....
「ああ玉杯に花うけて」より 著者:佐藤紅緑
とくにかれは覚平の一件があってから凶暴がますます凶暴を加えた。 学校の小使いは
廃兵であった。かれはらっぱをふくことがじょうずで、時間時間には玄関へでて腹一ぱい....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
られていて、その退屈そうな小窓には、夕陽《ゆうひ》が生々とした残照を投げていた。
廃兵院の広地の奥、その濠《ほり》や高い壁の後ろ、厳粛な寂寞《せきばく》さの中には....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
つけたベリー公よりもりっぱであった。それは大なる不都合だった。パリー市は市の金で
廃兵院の丸屋根の金を塗り直していた。まじめな人たちは、かくかくの場合にはド・トラ....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
はいるか? 彼は何をなしているか? マレンゴーおよびワーテルローに臨んだ一人の老
廃兵に向かって、ある通行人は言った、ナポレオンは死んだと。するとその兵士は叫んだ....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
ーベルや銃を見ると身体が凍える思いをした。生涯の間一度も大砲に近寄ったこともなく
廃兵院《アンヴァリード》に行ったこともなかった。かなりの胃袋を持っており、司教を....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
かこみ、ヴァレーヌ街のりっぱなクラシックふうな邸宅《ていたく》は付近に立ち並び、
廃兵院の丸屋根はすぐそばにあり、下院の建物も遠くなく、ブールゴーニュ街やサン・ド....
「ヤトラカン・サミ博士の椅子」より 著者:牧逸馬
あの、欧州戦争に参加した国々の公園などで、時おり、足の悪い、あるいは全然脚のない
廃兵が、嬉々《きき》として乗りまわしているのを見かけることのある、一種の loc....
「墓地展望亭」より 著者:久生十蘭
と滲み出しているのはムウドンの丘。左手に黝く見えるのはヴァンセイヌの森であろう。
廃兵院《アンブアリード》の緑青色の円屋根の上に洩れ陽がさしかけ、エッフェル塔のて....
「秋の修善寺」より 著者:岡本綺堂
てはかえって幸であったかも知れない。 帰り路に虎渓橋の上でカーキ色の軍服を着た
廃兵に逢った。その袖には赤十字の徽章をつけていた。宿に帰って主人から借りた修善寺....
「妻」より 著者:神西清
いのです。私どもの民衆に対する関係が、あり来たりの慈善の性質、つまり育児院だとか
廃兵院だとかに見られるような性質を帯びているあいだは、私たちは狡く立ち廻ったりご....