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廃園
「廃園〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
廃園の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
るべく二人から遠ざかるようにつとめてくれた。十二月の薔薇《ばら》の花園はさびしい
廃園の姿を目の前に広げていた。可憐《かれん》な花を開いて可憐な匂《にお》いを放つ....
「庭」より 著者:太宰治
ていけない。」 それでは私なども、まだこれでも、若いのであろうか。草ぼうぼうの
廃園は、きらいでない。 「しかし、これくらいの庭でも、」と兄は、ひとりごとのよう....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
。 越後国、春日山の城主、上杉謙信の旧家臣、直江|蔵人の隠遁所である。 今、
廃園に佇みながら若い男女が話している。蔵人の娘松虫と、松虫にとって従兄にあたる直....
「東京八景」より 著者:太宰治
、飾らずに書いて置きたいと思ったのである。二十四歳の秋の事である。草|蓬々の広い
廃園を眺めながら、私は離れの一室に坐って、めっきり笑を失っていた。私は、再び死ぬ....
「十五年間」より 著者:太宰治
、飾らずに書いて置きたいと思ったのである。二十四歳の秋の事である。草|蓬々の広い
廃園を眺めながら、私は離れの一室に坐って、めっきり笑を失っていた。私は、再び死ぬ....
「魚の序文」より 著者:林芙美子
なんだよ。君だったら何と云うかなア、庭ときたら手入れは行きとどいているが、まるで
廃園《はいえん》さ、君だったら大根植えるといいと云い出すかも知れないね。だが、あ....
「銀座アルプス」より 著者:寺田寅彦
りのような単調な眠さがない。うっかりすると目を突きそうである。また雑草の林立した
廃園を思わせる。蟻のような人間、昆虫のような自動車が生命の営みにせわしそうである....
「かの女の朝」より 著者:岡本かの子
かの女は伊太利の旅で見た羅馬の丘上のネロ皇帝宮殿の廃墟を思い出した。恐らく日本の
廃園に斯うまで彼処に似た処は他には無かろう。 廃墟は廃墟としての命もちつゝ羅馬市....
「交遊断片」より 著者:豊島与志雄
。こんなのどうだろう。晩春……咽せ返るような晩春の庭、そして手入れも何もしてない
廃園という感じ……
廃園の晩春というのが必要なんだ。その真中に古い深い池がある。そ....
「処女の木とアブ・サルガ」より 著者:野上豊一郎
ヌビア人らしい黒ん坊の子供が跣足で駈けて来て、その戸をあけた。入って行くと、奥は
廃園といったような感じのする広場になって、シャリ・エル・ミサラと呼ばれ、三角州《....
「銀三十枚」より 著者:国枝史郎
説教した。 楊の茂みを潜りぬけ、ケロデンの渓流を徒歩渡りし、やがてゲッセマネの
廃園へ来た。 イエスの体は顫えていた。ひどく恐れているらしかった。 「さあお前....
「印度の詩人」より 著者:国枝史郎
で、私にはあまり好ましくなかった。私にはシェレーの「雲雀の歌」やヴェルレーヌの「
廃園」のような、空に喘ぎ昇る雲雀の姿が見えて来るような詩でないことには、又衰え咲....
「昔のことなど」より 著者:上村松園
、「秋夕」という鴫立沢の西行の絵、芭蕉に連翹などあしらわれた処に鼬の走っている「
廃園春色」、樹蔭に大きな牛が寝て居る「緑蔭放牧」、その牛と牧童の部分を私は写さし....
「百花園」より 著者:永井荷風
くし達は心|窃《ひそか》にこの事を悲しんでいるので、ここに前時代の遺址たる菊塢が
廃園の如何を論じようという心にはなろう筈がない。これが保存の法と恢復の策とを講ず....
「かもめ」より 著者:神西清
家の田舎屋敷でのこと。――三幕と四幕のあいだに二年間が経過 ソーリン家の領地内の
廃園の一部。広い並木道が、観客席から庭の奥のほうへ走って、湖に通じているのだが、....