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廃址
「廃址〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
廃址の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
、思い入った調子で、下手《へた》な字体で書いてあった。葉子は忘却《ぼうきゃく》の
廃址《はいし》の中から、生々《なまなま》とした少年の大理石像を掘りあてた人のよう....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
野獣よりも人を捉うるを便とす、草野と沼沢に棲む事多きも林中にも住み、また古建築の
廃址《はいし》に居るを好く、水を泳ぐが上手で急がぬ時は前足もて浅深を試みて後渡る....
「雪中富士登山記」より 著者:小島烏水
、石は転び次第、雲は飛び放題、風は吹き荒《すさ》ぶなりに任せて、自然はその独創の
廃址《ルイン》を作りながら、かつこれを保護しているであろう、今という今「古い家」....
「法窓夜話」より 著者:穂積陳重
ある。それは一九〇一年の十二月から一九〇二年の一月にわたってペルシアの古都スザの
廃址においてフランス政府の派遣した探検隊がジョセフ・ド・モルガン(J. de M....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
おお》くある故、出来るだけ遣って見よう。 まずクック氏は、蛇類は建築物や著しき
廃址に寓し、池《いけ》壁《かべ》樹《き》の周囲《ぐるり》を這《は》い、不思議に地....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
な古典芸術が存在していた。現代ローマの気障《きざ》な建築物中における、古代殿堂の
廃址《はいし》のように、それは近代の工芸品の中にそびえ立っていた。しかしクリスト....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
ほとり――大洪水《だいこうずい》以前の怪物の巨大な背骨みたいな溝渠《こうきょ》の
廃址《はいし》に沿って、広漠《こうばく》たるローマ平野の中をさまようた。厚くかた....
「日和下駄」より 著者:永井荷風
も歌にもして伝えることができよう。 しかし私の好んで日和下駄を曳摺る東京市中の
廃址《はいし》は唯私一個人にのみ興趣を催させるばかりで容易にその特徴を説明するこ....
「霊廟」より 著者:永井荷風
隅において、われわれがただ僅か、壮麗なる過去の面影に接し得るのは、この霊廟、この
廃址《はいし》ばかりではないか。 過去を重んぜよ。過去は常に未来を生む神秘の泉....
「どら猫観察記」より 著者:柳田国男
事はもう誰かの紀行に書いてあるかも知れぬが、フォラムを始めとして市に接した大小の
廃址は、悉く彼等の領分であって、倒れ横たわる聖火神殿の石柱の上にも、新たに掘り出....
「日本橋附近」より 著者:田山花袋
うな気がした。何もかも移り変って行ってしまっている中に――ことに震災以後は時には
廃址になったかとすら思われるくらいに零砕に摧残されている光景の中にそうした遠い昔....