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「廃残〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

廃残の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
火の鳥」より 著者:太宰治
察のものが中にはいり、さちよは伯父と一緒に帰郷しなければならなくなった。謂わば、廃残の身である。三年ぶりに見る、ふるさとの山川が、骨身に徹する思いであった。 「....
花燭」より 著者:太宰治
味されている筈である。そんなら、かれの場合、これは転向という言葉さえ許されない。廃残《はいざん》である。破産である。光栄の十字架ではなく、灰色の黙殺を受けたので....
東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
語った。 私はそれよりも宗長という連歌師が東国の広漠たる自然の中に下ってもなお廃残の京都の文化を忘れ兼ね、やっとこの上方《かみがた》の自然に似た二つの小峰を見....
」より 著者:島崎藤村
、ぶるぶる震えてまでも猶腹の中にあることを言表わそうとしたその労苦を思いやった。廃残の生涯とは言いながら、何か為ずには宗蔵もいられなかった。彼は病人に似合わない....
春の枯葉」より 著者:太宰治
で乞食坊主と同じくらいのものなんだ。国民学校の先生になるという事はもう、世の中の廃残者、失敗者、落伍者、変人、無能力者、そんなものでしか無い証拠だという事になっ....
渋谷家の始祖」より 著者:宮本百合子
廻る正隆は、あまりに惨めに見える。あまりに弱い。あまりに頼りない。その頼りない、廃残者めいた男を一生の良人として、自分の生涯を支配されるのかと思うと、女性の大望....
座興に非ず」より 著者:太宰治
無数の黒色の旅客が、この東洋一とやらの大停車場に、うようよ、蠢動していた。すべて廃残の身の上である。私には、そう思われて仕方がない。ここは東北農村の魔の門である....
黒点」より 著者:豊島与志雄
また炬燵にしがみついてぼんやりしてる時の父は、世間に対する不平と諦めとの中にある廃残者だった。けれども、そういう父の中から、時々、電気にでも触れるような不気味な....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
が漠然《ばくぜん》と感じているに違いない場合なので――青年という曙《あけぼの》は廃残の老人にとっては往々快いものである――別のマリユスを見いだすのに好都合だった....
芳川鎌子」より 著者:長谷川時雨
さず、朝《あした》夕《ゆう》べに讃美歌を口ずさみながら、羊の群をおっているのは、廃残の彼女にはほんに相応《ふさわ》しいことだと思った。が、嘘かまことか、五月のあ....
暗黒星」より 著者:黒岩涙香
う殺される生物が残っていない。 七十一 雲は暗く暗く天を蓋い、雨は強く強く地上の廃残を敲いた。 七十二 ここに至っては穴倉や倉庫などに密集した人々も助からぬ。 ....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
、 点。 海獣の頭だ。 あ、潜った。 いる、いる、いる、 無数の廃残者、 海中の遁走者、膃肭獣、 弱者、負傷者、 老大獣、 力尽き溺るる....