廃頽[語句情報] »
廃頽
「廃頽〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
廃頽の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
、顔の細くなったのもいくらか調節されて、そこには葉子自身が期待もしなかったような
廃頽的《はいたいてき》な同時に神経質的なすごくも美しい一つの顔面が創造されていた....
「省線電車の射撃手」より 著者:海野十三
事に射ち貫くことは、実に容易ならぬ技量である。だがこの悪意ある射撃は、世紀末的な
廃頽せる現代に於て、なんと似合わしいデカダン・スポーツではあるまいか。 小暗い....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
と言ってもよかろう。たとえばサッカレー、それからシェイクスピアはもちろん、文芸|
廃頽期の詩人もまた、(と言っても、いずれの時か
廃頽期でなかろう)物質主義に対する....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
。でなかった日には、既に気狂いになっていますよ。そうでしょう。倦怠、不安、懐疑、
廃頽――と明け暮れそればかりです。誰だって、こんな圧し殺されそうな憂鬱の中で、古....
「島原心中」より 著者:菊池寛
た病人が、医者の手から、突き放されて、死期を待っているように、どの家もどの家も、
廃頽するままにまかせられているような気がしたのです。定紋の付いた暖簾の間から見え....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
でも自分の為めに涙を流して貰ったら、それこそ自分の骨の髄にまで喰い込んでいる此の
廃頽は綺麗に拭い去られるような気がする。そしたら此の得体の解らぬ自分の巴里滞在期....
「銀三十枚」より 著者:国枝史郎
に落つる物の音 雨にはあらで落葉なる 明るき蒼き瓦斯の燈に さまよう物は残れる蛾
廃頽詩人ヴェルレイヌ、卿だけだ! 知っている者は! 秋の呼吸を、落葉の心を、ひと....
「高原の太陽」より 著者:岡本かの子
云った。かの女のあまり好かないこんな自堕落らしい様子をしても、この青年は下品にも
廃頽的にも見えない。この青年の美貌と、蘂に透った寂寞感が、むしろ上品に青年の態度....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
いうと馬鹿に難かしく面倒臭くなるが、畢竟は二葉亭の頭の隅のドコかに江戸ッ子特有の
廃頽気分が潜在して、同じデカダンの産物であるこういう俗曲に共鳴したのであろう。こ....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
とお堂守・浅草の畸人の一群・椿岳の着物・椿岳の住居・天狗部屋・女道楽・明治初年の
廃頽的空気 負け嫌いの椿岳は若い時から誰でも呑んで掛って人を人臭いとも思わなか....
「二葉亭四迷」より 著者:内田魯庵
なる文人生涯に熟していたが、それ以上に東洋の軽浮な、空虚な、ヴォラプチュアスな、
廃頽した文学を能く知りかつその気分に襯染していた。一言すれば二葉亭は能く外国思想....
「四十年前」より 著者:内田魯庵
て新らしい文明を作りつつある。この世界化は世界の進歩の当然の道程であって、民族の
廃頽でもなければ国家の危険でもないのである。 イツの時代にも保守と急進とは相対....
「噴水物語」より 著者:岡本かの子
惚の痺れ。これを何に譬えたらいいでしょうか。幻想を起さす為めに世紀末のフランスの
廃頽詩人たちが喫んだアッシという土人の煙草なぞはおよそ不健康な恍惚の痺れです。噴....
「近頃感じたこと」より 著者:小川未明
の文学でなければならない。この意味において、既成の感情、常識を基礎とする、しかも
廃頽的な大人の文学と対立するものでなければなりません。しかるに、指導的立場にある....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
いう銅鑼声がうしろにした。 通りへ出ると、同じく丸太組の家が、それももうよほど
廃頽している軒並が向う側にも続いていた。日本人の家も交っていた。 その中に、主....