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「延べる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

延べるの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
た、絹や毛皮の寝床の中に、たった一人横になっていた。寝床には菅畳《すがだたみ》を延べる代りに、堆《うずたか》く桃《もも》の花が敷いてあった。昨日《きのう》から洞....
こころ」より 著者:夏目漱石
その代り五、六分経ったと思う頃に、押入《おしいれ》をがらりと開けて、床《とこ》を延べる音が手に取るように聞こえました。私はもう何時《なんじ》かとまた尋ねました。....
草枕」より 著者:夏目漱石
敷は掃除がしてないから、普段《ふだん》使っている部屋で我慢してくれと云った。床を延べる時にはゆるりと御休みと人間らしい、言葉を述べて、出て行ったが、その足音が、....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
は十八であった。もっとも、津の国屋の方は約束だけで、ほんとうの祝言はもう一年繰り延べることとなったが、二組ともに一つずつの年上の嫁を持つというのは、そこに何かの....
渾沌未分」より 著者:岡本かの子
うと翡翠の飛込み方は、用意の号令で櫓の端へ立ち上って姿勢を調え、両腕を前方へさし延べるときが挙動の一である。両手を後へ引いて飛込みの姿勢になるときが二で、跳ね出....
縮図」より 著者:徳田秋声
にかかっていたが、工場通いと学校通いと、四人の妹がここで学課の復習もすれば寝床も延べるのだった。 銀子は物干へ出られる窓の硝子窓を半分開けて、廂間から淀んだ空....
新世帯」より 著者:徳田秋声
たっていいでしょう。」 時計が一時を打つと、お作は想い出したように、急いで床を延べる。新吉に寝衣を着せて床の中へ入れてから、自分はまたひとしきり、脱棄てを畳ん....
白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
り伐り落して、鮮やかな、光沢のある、脂の香気が、鋭敏に鼻感を刺戟する、青葉の床を延べる。ふっくりと柔く、尻の落ちつきがいい。同行八人の寝室も、食堂も、ここで兼ね....
源氏物語」より 著者:紫式部
葬送を行なったということですが、なぜそれは私へ相談をしませんでしたか、そして日を延べることが普通ではありませんか。しかも簡単に儀式をしてしまったと聞いて残念に思....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
郎谷の下り口に来たのだ。この附近の岩は真黒な色に苔が蒸して、偃松が緑の毛氈を敷き延べる、其間に珍車が咲く、岩梅が咲く、さっきのように荒けた光景はもう何処にも見ら....