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「建前〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

建前の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
温泉だより」より 著者:芥川竜之介
大火のあった時のことです。半之丞はちょうど一里ばかり離れた「か」の字村のある家へ建前《たてまえ》か何かに行っていました。が、この町が火事だと聞くが早いか、尻を端....
酒中日記」より 著者:国木田独歩
何処《いずこ》を指して出たか、何人《なにびと》も知らない、母にも手紙一つ出さず、建前が済んで内部《うち》の雑作《ぞうさく》も半ば出来上った新築校舎にすら一|瞥《....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
二度も大火が来てごらん、たいていの村はまいってしまう。まあ、吾家でも先月の三日に建前の手斧始めをしたが、これで石場搗きのできるのは二百十日あたりになろう。和宮さ....
佐竹の原へ大仏をこしらえたはなし」より 著者:高村光雲
てから十日も経つか。話は迅く、四月八日釈迦の誕生日には中心になる四本の柱が立って建前というまでに仕事が運んでいました。最初はまるで串戯のように話した話が、三週間....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
調子、「めでためでたの若松様よ、枝も栄える、葉も繁る――」と唄い初め唄いおさむる建前のあした、都の空にこの唄声の漸く拡ごり行けば、万丈の紅塵一時に鎮まりかえって....
地球要塞」より 著者:海野十三
より明らかなる如く、日本要塞は、外部より何者といえども、絶対に侵入するを許さざる建前《たてまえ》により、戒厳令中《かいげんれいちゅう》は、たとえ黒馬博士なりとも....
松の操美人の生埋」より 著者:三遊亭円朝
長「私も此方へお供をして参りましたが、何分御普請が此の通りで埓が明きませんし、建前が済んで造作になってから長くって、折角片付いてもまた御意に入りませんで、又|....
風と光と二十の私と」より 著者:坂口安吾
は、美しい人のまぼろしがこんな汚らしい結婚でつぶされてはと大変不安で、行雲流水の建前にも拘らず、主任をひそかに憎んだりした。 石毛先生は憲兵曹長だかの奥さんで....
金銭無情」より 著者:坂口安吾
バラックをたて、一杯飲み屋を始めた。彼はカントの流儀によつて哲学は又食通だといふ建前で、ソースなどは自分で作れるぐらゐ、昔は相当料理の本を読んで、牛の脳味噌、牛....
ヨーロッパ的性格 ニッポン的性格」より 著者:坂口安吾
であります。 他人というものには構わずに、自分だけの悟りを求めるというのが禅の建前なのでありますが、それだけに逆にまた他人に対しては寛大な態度をとるのでありま....
法学とは何か」より 著者:末弘厳太郎
窃盗を罰することも必要かも知れないが、そのために罪刑法定主義を破るのは刑法全体の建前から見て一層よろしくないと考えたに違いないのであって、そこに、彼此の裁判官の....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
頼漢であった。けれども、いずれにしても当座は用にたつ無頼漢にちがいなかった。その建前で彼はエセックスとフランス王アンリの重宝ものとなったのである。無数の経歴を持....
回顧と展望」より 著者:高木貞治
ストラスの数学をそのまま,本当の,正真正銘ワイヤストラス直伝の数学を講ずるという建前で,函数論の講義はワイヤストラス流の無理数論から始めるといった遣り方で,これ....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
す。 専門家の僧は、人から寄附を受けて生命を支え、専ら修業に努力するのが生活の建前ですから、なるたけ寄附する人の負担を軽くするため、また、修業を妨げぬため、極....
鮎を食う」より 著者:北大路魯山人
とばかり、その鮎を塩焼き、魚田、照り焼き、煮びたし、雑炊、フライと、無闇に料理の建前を変えて、鮎びたりにさす悪風がある。これは知恵のない話であって、慎むべきこと....