建増し[語句情報] »
建増し
「建増し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
建増しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「岩石の間」より 著者:島崎藤村
言って、反《かえ》って彼は腰を落着けた。 更に二年ほど過ぎた。塾では更に教室も
建増したし、教員の手も増《ふや》した。日下部《くさかべ》といって塾のためには忠実....
「思い出の記」より 著者:小泉節子
私はそれほど出雲がよいとも思いませんでしたから、ついこの西大久保の売屋敷を買って
建増しをする事に、とうとうなったのでございます。 兼てヘルンは、まじりけのない....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
煮え川にして、温泉の湧いた処だなぞと、ここが温泉にでもなりそうな意気込みで、新館
建増しにかかったのを、この一座敷と、湯殿ばかりで、そのまま沙汰やみになったことな....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
の情切で、鬼を欺く係官さえ涙ぐましたと云う。 問 現住所の古家に住み込み喜平は
建増したか。 答 そうです。買った古家の造作を取換え且つ北側に只今も残っている....
「家」より 著者:島崎藤村
れは私がお嫁に来る時に出来た部屋だ」 こう言ってお種が案内したは、奥座敷の横に
建増した納戸で、箪笥だの、鏡台だの、その他|種々な道具が置並べてある。襖には、亡....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
人の心次第だが、兎に角著しく変った。引越した年の秋、お麁末ながら浴室や女中部屋を
建増した。其れから中一年置いて、明治四十二年の春、八畳六畳のはなれの書院を建てた....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
うちに祈りました。 五 神尾主膳の邸ではこの頃|普請《ふしん》が始まりました、
建増しをしたり、手入れをしたりするために、大工や左官が幾人も入りました。 表の....
「伸子」より 著者:宮本百合子
じょろ》で部屋の前に水撒きをしていた。 天気つづきの上、彼女の部屋のまわりは、
建増しの時地肌を荒されたので、乾きようがひどかった。雨に打たれることのない庇の下....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
手を曳いて、今度は裏梯子から二階へ上った。その段を昇り切ると、取着に一室、新しく
建増したと見えて、襖がない、白い床へ、月影が溌と射した。両側の部屋は皆|陰々と灯....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
。
お銀様は、大竹藪《おおたけやぶ》の中の椿の木の下に、茶室をうつして、それに
建増しをしたところに、ひとり住んで、その呪われたる存在をつづけて行きます。
た....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
》に建てもらい、またその隣家《となり》を買いつぶして、小意気な座敷を妹娘の旦那に
建増してもらって、急に××家のおとっさんおとっさんとたてられ、ばかに華々《はなば....
「少年の死」より 著者:豊島与志雄
「うちの親方はぐずなんだい。」と惣吉はよくいった。「こないだの坂の上の旦那の家の
建増しを大万《だいまん》の方に取られちゃったじゃねえか。働きが足りねえんだよ。俺....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
た。夕方の七ツ半にはもう売り切れになるという有様なので、建てたばかりのやつをまた
建増ししなければならなくなった。 ところが『大清』の南は濠《ほり》で建増そうに....
「春の修善寺」より 著者:岡本綺堂
十年前にくらべると、町は著るしく賑やかになった。多くの旅館は新築をしたのもある。
建増しをしたのもある。温泉|倶楽部も出来た、劇場も出来た。こうして年ごとに発展し....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
う側にも続いていた。日本人の家も交っていた。 その中に、主家の外に牛舎か何かの
建増しをしている露人の一戸があった。 肥った年輩の父親とその息子らしい二人の少....