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建物
「建物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
建物の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「父」より 著者:芥川竜之介
動いている。そうしてまたその運動が、声とも音ともつかないものになって、この大きな
建物の中を霧のように蔽《おお》っている。しかし能勢の父親だけは動かない。この現代....
「春」より 著者:芥川竜之介
り出した。油画は六号か八号のカンヴァスに人体ならば顔ばかりを、風景ならば西洋風の
建物を描《えが》いたのが多いようだった。広子は結婚前の何箇月か、――殊に深い秋の....
「路上」より 著者:芥川竜之介
を外套《がいとう》の隠しへ突っこみながら、法文科大学の古い赤煉瓦《あかレンガ》の
建物の方へ、ゆっくりした歩調で歩き出した。
と、突然頭の上で、ごろごろと春の雷....
「寒さ」より 著者:芥川竜之介
ドや、グラウンドの向うの並松《なみまつ》や、そのまた向うの赤煉瓦《あかれんが》の
建物を一目《ひとめ》に見渡すのも容易だった。海も――海は
建物と
建物との間《あいだ....
「葬儀記」より 著者:芥川竜之介
少したって、久米と斎場へ行ってみると、もう会葬者がおおかた出て行ったあとで、広い
建物の中はどこを見ても、がらんとしている。そうして、その中で、ほこりのにおいと香....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
彼れはそれが松川農場の事務所である事を知った。ほんとうをいうと彼れは始めからこの
建物がそれにちがいないと思っていたが、這入るのがいやなばかりに知らんふりをして通....
「星座」より 著者:有島武郎
キで塗り上げられた。その後にできた掘立小屋のような柾葦《まさぶ》き家根の上にその
建物は高々と聳《そび》えている。
けれども長い時間となげやりな家主の注意とが残....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
っては、足腰の立たない打撃となるのだ。疲れた五体を家路に運びながら、そしてばかに
建物の大きな割合に、それにふさわない暗い灯でそこと知られる柾葺きの君の生まれた家....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
その中の一|番大きい老木には注連縄が張ってあり、そしてその傍に白木造りの、小さい
建物がありました。四方を板囲いにして、僅かに正面の入口のみを残し、内部は三|坪ば....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
かれこれ十年前にあった夏目先生の告別式以来、一度も僕は門の前さえ通ったことのない
建物だった。十年|前の僕も幸福ではなかった。しかし少くとも平和だった。僕は砂利を....
「初雪」より 著者:秋田滋
の屋敷へ連れて行った。それは、鬱蒼と茂った老樹にぐるりを囲まれた、石造りの宏壮な
建物だった。正面には、見上げるような樅の木叢がたちはだかっていて、視界を遮ってい....
「東京に生れて」より 著者:芥川竜之介
心するものはない。 しかし、さういふ不愉快な町中でも、一寸した硝子窓の光とか、
建物の軒蛇腹の影とかに、美しい感じを見出すことが、まあ、僕などはこんなところにも....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
ら北へ曲りて、アルベマール町へはいると、普通の家と軒を並べた、大きなギリシャ式の
建物がある。戸を開けて這入ると、玄関の正面には大きな石の廻り階段があって、その左....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
子が玉蜀黍の畑から逃げだしてきたのかとまちがえるかもしれない。 彼の学校は低い
建物で、大きな教室が一つきりの粗末な丸太づくりだった。窓はガラス張りのもあったが....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
関だった時代に横綱を張った相撲だった。 本所警察署もいつの間にかコンクリートの
建物に変っている。僕の記憶にある警察署は古い赤煉瓦の
建物だった。僕はこの警察署長....