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「弁疏〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

弁疏の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
たのだと葉子は気がついて、それも許さなければならない事だと、自分の事のように心で弁疏《べんそ》した。ようやく洗面が済んで、それから寝台の周囲を整頓《せいとん》す....
行人」より 著者:夏目漱石
り出したか御母さんはちっとも知らなかったよ」 母はさも愛想《あいそ》らしくまた弁疏《いいわけ》らしく口を利《き》いて、「二郎、御苦労だったね、早く御休み。もう....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
功するにつけて、運命に対して謙遜である必要はない。又失敗するにつけて運命を顧みて弁疏させる必要もない。凡ての責任は――若しそれを強いて言うならば――私の中にある....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
風評がもっぱら江戸で行なわれていたという。これはいずれ生麦償金授与の事情を朝廷に弁疏するためであろうという。この仙台の家中の話で、半蔵は将軍|還御の日ももはやそ....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
た彼らは仙台藩等と共に上書して、逆賊の名を負い家屋敷を毀たれるのいわれなきことを弁疏し、退いてその郷土を死守するような道をたどり始めていた。強大な東北諸侯の同盟....
謀叛論(草稿)」より 著者:徳冨蘆花
して、書生にならねばならぬ。彼らは幸徳らの事に関しては自信によって涯分を尽したと弁疏するかも知れぬ。冷かな歴史の眼から見れば、彼らは無政府主義者を殺して、かえっ....
思想と風俗」より 著者:戸坂潤
カーライル=トイフェルスドレックは自分が或いはサンキュロットであるかも知れぬ、と弁疏している。サンキュロットとは云うまでもなく、フランス大革命時に於ける一つのプ....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
に君臨する裁き主の前に uneasy な気がする。それゆえ私は半ば人に半ば自分に弁疏しなくては気になるのである。 四、五年前まで私は何の苦も無く他人に話しかけ....
社会時評」より 著者:戸坂潤
亀井貫一郎代議士にキメつけられて、将来かかる事を材料として声明書は出さないという弁疏をさえさせられることになったのである。 次に問題にされたのは軍人の政治干与....
現代日本の思想対立」より 著者:戸坂潤
いう神話が発生する時期ということだが)、依然として展望的な期待の対象ではなくて、弁疏的な口実の拠り処でしかない。処がアカデミー外的なブルジョア(乃至日本ファッシ....
琵琶伝」より 著者:泉鏡花
を、それじゃあ義理が済むまいが。あんまりだ、あんまりだ。」 謙三郎はいかんとも弁疏なすべき言を知らず、しばし沈思して頭を低れしが、叔母の背をば掻無でつつ、 「....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
す」 さすがに道庵先生は、江戸ッ子です。この場に及んでも、自己の一身上のための弁疏《べんそ》哀願は後廻しにして、まず借物にいたみのないようにと宥免《ゆうめん》....
犂氏の友情」より 著者:久生十蘭
であやうく食い止められているわけである。 これについては先生には、ちゃんとした弁疏《エクスキュウズ》がある。いかに熱意を持っていても、市の鑑札がないとあそこに....
巷説享保図絵」より 著者:林不忘
はないものが、そんなことをしようぞ。これ、お前は、このわたしの膝の上で、きやつの弁疏《いいわけ》をする気か」 「いいえ。決してそんな――」 「ええっ、聞きとうな....
融和促進」より 著者:喜田貞吉
あまりに低級であるが故に、近づかんと欲しても能わぬのである」と。私はただちにこの弁疏を信ずるほどに正直者ではありません。しかしながらかくの如き意味も確かに存在す....