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弊履
「弊履〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
弊履の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
、改易《かいえき》の沙汰を思いのほかにたやすく聞き入れられ、六十七万石の封城を、
弊履のごとく捨てられ、配所たる豊後国府内《ぶんごのくにふない》に赴かれた。途中、....
「紅黄録」より 著者:伊藤左千夫
知識のあるだけそれだけ動物におとるわけである。 老病死の解決を叫んで王者の尊を
弊履のごとくに捨てられた大聖|釈尊は、そのとき年三十と聞いたけれど、今の世は老者....
「法窓夜話」より 著者:穂積陳重
政を布き、良法を設けて、市民の信頼に報い了《お》わり、直ちに位を棄《す》つること
弊履《へいり》の如くであった。 このピッタコスの定めた法律の中に「酔うて人を殴....
「近世快人伝」より 著者:夢野久作
なして自分の仕事に利用する。そうして利用するだけ利用して最早使い手がないとなると
弊履の如く棄ててかえりみないところに、彼の腕前のスゴサが常に発揮されて行くのであ....
「田園雑感」より 著者:寺田寅彦
やされた。それであの親切な情誼の厚い田舎の人たちは切っても切れぬ祖先の魂と影とを
弊履のごとく捨ててしまった。そうして自分とは縁のない遠い異国の歴史と背景が産み出....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
きの刀、乾雲丸の取り戻し方を思いとどまってくれ……というお艶のことばは、さながら
弊履《へいり》を棄《す》てよとすすめるに等《ひと》しい口ぶりだ。
この、うって....
「傷痕の背景」より 著者:豊島与志雄
くのである。むろん、肩幅が広く、背が高い。前陸軍少佐…………。 陸軍少佐の職を
弊履の如く捨てた、彼である。退職将校というよりも、落選代議士という感じの方が強い....
「血液型殺人事件」より 著者:甲賀三郎
て誤りなく、又私の推察が正しければ、この二人は、場合によっては名誉も権勢も生命も
弊履のように棄てようという恋を争ったというのだから、実に悲惨である。三角関係にど....
「私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
時は、泣く泣くその品を引取らねばならないのである。自分はこのような得意を捨てるに
弊履の如くあれと店員に命じておくのである。 ある有名な富豪を得意とし、いわゆる....
「役人の頭」より 著者:末弘厳太郎
いお世話になった、そうしてみずから神のごとくにあがめていた、欧米の文化をたちまち
弊履のごとくなげうって口汚くののしりはじめました。 そうして外来思想を非難し、....
「血の盃」より 著者:小酒井不木
子の身になってみれば、どんなにか悲しいことであろう。生れもつかぬ盲目にされた上、
弊履のごとく捨てられては、立つ瀬も浮ぶ瀬もあったものではない。 「お父さん、わた....
「人工心臓」より 著者:小酒井不木
ず、遂に一旦その目的を達したのであるが、夫人の死後、如何なる故か、折角の大研究を
弊履の如く捨てて顧みなくなった。私は度々、その理由を訊ねたが、博士はただにやりと....
「昭和四年の文壇の概観」より 著者:平林初之輔
小説は歌舞伎劇のような惰性的生命をもち得ないで、大衆の実質的興味が衰えるとともに
弊履《へいり》のようにすてておしまれないだろうという点だ。中里、白井、大仏氏らが....
「三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
沼南が大隈参議と進退を侶にし、今の次官よりも重く見られた文部|権大書記官の栄位を
弊履の如く一蹴して野に下り、矢野文雄や小野梓と並んで改進党の三|領袖として声望隆....