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弊衣
「弊衣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
弊衣の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「デカダン抗議」より 著者:太宰治
きの休みのときに出掛けた。私は、高等学校の制服、制帽のままだった。謂《い》わば、
弊衣破帽《へいいはぼう》である。けれども私は、それを恥じなかった。自分で、ひそか....
「思想と風俗」より 著者:戸坂潤
はそれだけ学生が社会に同化しなければならない弱みを意味するので、彼等がすでにその
弊衣破帽式生活に自信を失って了った証拠なのである。現在の学生は他の階級や身分や職....
「渋江抽斎」より 著者:森鴎外
た。竹逕の養父に代って講説することは、啻に伝経廬におけるのみではなかった。竹逕は
弊衣を著て塾を出で、漁村に代って躋寿館に往き、間部家に往き、南部家に往いた。勢此....
「真夏の幻影」より 著者:豊島与志雄
静に消えてゆく。男は無関心な足取りで、すたすたと歩き続ける。縞目も色合も分らない
弊衣を一枚まとって、伸びるに任した蓬髪の頭には、帽子も被らないでいる。前方をじっ....
「楊先生」より 著者:豊島与志雄
もない平凡な小さな人家が立並んでいたこの都市が、火に焼けて丸裸になり、謂わばその
弊衣を脱ぎすてて、新鮮な大地が肌を現わしたのは、見る眼に一種の驚異を与えるのだそ....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
ろう》し、喧嘩《けんか》をし、乞食《こじき》小僧のようなぼろをまとい哲人のような
弊衣をつけ、下水の中をあさり、塵溜《ちりだめ》の中を狩り、汚物のうちから快活を引....
「学位について」より 著者:寺田寅彦
れは少し考えものではないか。 博士がえらいものであったのは何十年前の話である。
弊衣破帽の学生さんが、学士の免状を貰った日に馬車が迎えに来た時代の灰色の昔の夢物....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
のゼントル・フォークの中に出て来る、自分を野の百合に比べ、雲井のひばりにたとえる
弊衣の詩人青年のことを君について、思ったのであった。 「君たちは君たちだけの事を....
「山の人生」より 著者:柳田国男
わち是である。武州小川の大塚|梧堂君の話では、夜道怪は見た者はないけれども、蓬髪
弊衣の垢じみた人が、大きな荷物を背負うてあるくのを、まるで夜道怪のようだと土地で....