引き留める[語句情報] »
引き留める
「引き留める〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
引き留めるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
ように両手を広げて船に駆け寄ろうとするのを、近所に居合わせた三四人の人があわてて
引き留める、それをまたすり抜けようとして組み伏せられてしまった。若者は組み伏せら....
「人間失格」より 著者:太宰治
されたツネ子は、自分とわかれなければならなくなるだろう、しかも自分にも、ツネ子を
引き留める程のポジティヴな熱は無い、ああ、もう、これでおしまいなのだ、とツネ子の....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
、藻はしとやかに座を起《た》った。その凛とした威に打たれたように、大納言は無理に
引き留めることも出来なかった。彼はこの美しい不思議な乙女のうしろ姿を夢のように見....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
足音を聞き、悪い所を見られたとでも思ったか素知らぬ顔で立ち去ろうとする、勿論余は
引き留める事も出来ぬが、何うか其の顔を見たいと思い、顔の見える方へ足を早めた。先....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
注意を惹いたらしく、彼はときどきに猪口をおいて考えていた。なんだか残り惜しそうに
引き留める師匠をふり切って、彼は半※ほどの後にここを出た。 「まだ御用がたくさん....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
へ移った。 旅を急ぐ香蔵に門口から声をかけられて見ると、半蔵の方でもそう友人を
引き留めるわけに行かない。香蔵は草鞋ばきのまま、本陣の玄関の前から表庭の植木の間....
「縮図」より 著者:徳田秋声
はちらとそのことを思い出し、あながちにそのためとも言えなかったが、強いて加世子を
引き留める気にもなれなかった。 「風呂へでも入って、ゆっくりしていらしたらどう。....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
は慌てて東京へ帰ることにしました。ほかの事と違いますから、三津子さん夫婦も無理に
引き留めるわけにもゆかないので、しきりに残念がりながら山の下まで送って来てくれま....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
を費やす理由がよくわからなかった。しかしそれは、彼の気を落ち着けさせ彼を手もとに
引き留める一つの方法だったので、彼女は彼が満足しさえすればそれで非常に幸福だった....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
もなく、古跡もない。人の心をひきつけるようなものは何もない。しかし、すべてが人を
引き留めるようにできている。その無気力|懶惰《らんだ》のうちには、一つの力が潜ん....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
出した幽霊のように突然すっくと立ち上がった。そして両手で兵士らを払いのけ、人々が
引き留める間もなくもう、マドレーヌ氏の方へまっすぐに進んでゆき、我を忘れたように....
「新妻の手記」より 著者:豊島与志雄
ってきたいと言いだした。久しく行かないから、先祖の墓参かたがた訪れるのだと言う。
引き留める理由はなにもなかった。駒込の伯父さんへの口実も立つと、吉川は陰で私に、....
「奇巌城」より 著者:菊池寛
レはしばらく経つと、学校の休暇が今日でお終いになるからといって、判事が相談相手に
引き留めるのも断って、パリへ帰ってしまった。彼はまたジャンソン中学の学生になった....
「決闘場」より 著者:岡本かの子
点で言ってのけた。が彼の言葉を言い切るまでに已に彼の頭の何処かで、彼の此の考察を
引き留めるものがあった。でワルトンは不審そうに黙ってアイリスと同じように、晩春の....
「百花園」より 著者:永井荷風
た南畝の※額《へんがく》が旧《きゅう》に依《よ》って来り訪《おとな》う者の歩みを
引き留める。門をはいると左手に瓦葺の一棟《ひとむね》があって其縁先に陶器絵葉書の....