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引き立て
「引き立て〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
引き立ての前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
、こう確信していたのである。役人は彼等を縛《いまし》めた後《のち》、代官の屋敷へ
引き立てて行った。が、彼等はその途中も、暗夜《やみよ》の風に吹かれながら、御降誕....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
てもの事に、その方どもは、予が車を警護|旁《かたがた》、そこな老耄《おいぼれ》を
引き立て、堀川の屋形《やかた》まで参ってくれい。」
こう仰有《おっしゃ》られて....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
鬼どもの方を向いて、荒々しく何か言いつけると、鬼どもは一度に畏って、忽ち杜子春を
引き立てながら、森羅殿の空へ舞い上りました。 地獄には誰でも知っている通り、剣....
「冬」より 著者:芥川竜之介
聞記者ですよ。耳の痛いことは御免蒙《ごめんこうむ》りますかね。」
僕は僕自身を
引き立てるためにも常談《じょうだん》を言わずにはいられなかった。が、従兄の弟は酒....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
父親の名代を勤めさせる――と云った具合に骨を折って、無理にも新蔵の浮かない気分を
引き立てようとし始めました。そこでその日も母親が、本所界隈の小売店を見廻らせると....
「或る女」より 著者:有島武郎
一口酒を飲んで、ため息をつくように庭のほうに向いて気を吐いた倉地は、自分で気分を
引き立てながら思い出したように葉子のほうを向いてこう尋ねた。
「えゝ、しようがな....
「奈々子」より 著者:伊藤左千夫
手を取ってしきりに来て見よとの意を示すのである。父はただ気が弱い。口で求めず手で
引き立てる奈々子の要求に少しもさからうことはできない。父は引かるるままに三児のあ....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
お千代も次の間から飛んできて父を抑える。お千代はようやく父をなだめ、母はおとよを
引き立てて別間へ連れこむ。この場の騒ぎはひとまず済んだが、話はこのまま済むべきで....
「成長が生んだ私の恋愛破綻」より 著者:伊藤野枝
する考えはよほど積極的になってきました。戦わねばならぬ、という事がいつも私の気を
引き立てました。そして、この私の積極的な気持から、私の対社会的な考えが一変したの....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
して、すべての考えを一新してしまおうかと思いつき、まず、あぐんでいる身体を自分で
引き立て、さんざんに肘を張って見たり、胸をさすって見たり、腕をなぐって見たりした....
「絹と紙の話と師弟の間柄の話」より 著者:上村松園
ませぬが、大体そうしたのを使います。それに又暇の時にはそうした絹にどうさにしても
引き立てですと、いやにギラギラと光ってけばけばしい感じのするものですが、それも涸....
「十八時の音楽浴」より 著者:海野十三
い。もちろんさ。なぜそんなことを聞くんだい」 ポールは無言でペン公の手を握って
引き立てた。そして部屋の隅に立っている衝立の蔭に引張りこんだ。 スルスルと衣服....
「独本土上陸作戦」より 著者:海野十三
にゴンゴラ総指揮官の勘忍袋の緒が切れ、警衛隊に命令して、金博士をオムスク酒場から
引き立て、官邸へ連れて来させたのであった。そのとき金博士は、へべれけに大酩酊のて....
「鉄の処女」より 著者:大倉燁子
附き添って、私が門内まで送り込んだのです。 殆ど意識を失いかけている妻を無理に
引き立てて、玄関の扉の処まで歩かせ、ベルを押して私は門の外へ逃げ出し、そこから見....
「幽霊妻」より 著者:大阪圭吉
すが、二年前にこの老耄が、学校の方の小使を馘になりました時に、お邸の方の下男にお
引き立てくださったのも、後で女中から聞いたことですが、みんな奥様のお口添えがあっ....