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「引ける〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

引けるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
おって、正面を切って杯を奥さんの方にさしだしかかった。 「一人で飲んでいちゃ気が引けるとおっしゃられるとね」 と落着いた調子でいいながら奥さんは躇《ため》らい....
富士」より 著者:岡本かの子
滑り落ちる音が止めどもなくしくしくと聞えて来る。 平野に雲の海があるとき、霞棚引けるとき、それ等を敷莚《しきむしろ》にして、幽婉な寝姿が影となって望まれる。そ....
両国の秋」より 著者:岡本綺堂
十四 林之助が帰ると、やがて午《ひる》が近づいた。青物市ももうそろそろ引ける時刻になったので、観世物小屋に用のある人たちは一度に起《た》った。豊吉とお....
春の潮」より 著者:伊藤左千夫
につくようである。父は奥座敷でぽんぽん煙草を吸って母と話をしている。おとよは気が引けるわけもないけれども、今日はまた何といわれるのかと思うと胸がどきまぎして朝飯....
間諜座事件」より 著者:海野十三
った屋根裏の青年の前には一台の機関銃が壁穴を通して外を覗いている。いつでも引金が引ける、この機関銃の銃口は、向いの高い建物の三階に、ポッカリ開いた窓に向けられて....
自叙伝」より 著者:大杉栄
甘いしかも実も何にもない初恋の話の続きを今後まだあちこちに挾んで行くのは少し気が引けるので、少々年代を飛ばして、今ここで、話しついでにその後のいきさつをも一と思....
聖アレキセイ寺院の惨劇」より 著者:小栗虫太郎
大十字架になっているんですよ。」 法水は試みに綱を引いてみた。鐘は両手でやっと引ける程の重量だったが、果してルキーンの云う通り、最初小鐘が明朗たる玻璃性の音響....
怪塔王」より 著者:海野十三
ののっている司令機のうしろについていた五機の操縦士は、前門の機銃の引金をいつでも引けるように用意をして、あとの命令をまちました。 そのうちに、 「怪塔を射撃用....
地虫」より 著者:小栗虫太郎
いじゃないの。橋が落ちて、渡船が出来てからは、なんだか、人別を見られるようで気が引けるって、客足は落ちるし、こんな雨の日なんかは、三伝さん御全盛の、あの頃を想い....
暗号数字」より 著者:海野十三
而もCは零でなく、たとえ9であってもDへ1を取られて8を残すから、Iすなわち9が引けるためにはBは6の外に取るべき数字がないのである。 またもうすこし深くDを....
勧善懲悪」より 著者:織田作之助
あり、大向うの受けは良いのだが無論それもある。が、それだけでは、新派めいて、気が引ける。ありていに言うと、ひとつにはおれの弥次馬根性がそうさせたのだ。施灸の巡業....
層雲峡より大雪山へ」より 著者:大町桂月
愛別に至れば、小市街を成す。三人の幼児の乗りたる箱車を牽く犬もあり。石狩川の水を引ける掘割の傍に宿屋ありけるが、小熊を鉄鎖にて木に繋げり。大人も小児も打寄りて見....
くわの怒った話」より 著者:小川未明
できる仕事をやりなさい。」と、冷ややかにいいました。 「俺は、おまえのように車が引けるだろうか。」と、兄は、おどおどしながら弟に問いました。 「そこに、私の引い....
ある男と牛の話」より 著者:小川未明
ある男が、牛に重い荷物を引かせて町へ出かけたのであります。 「きょうの荷は、ちと牛に無理かもしれないが、まあ引けるか、引かせてみよう。」と、男は、心の中で思ったのでした。 牛や馬は、いく....
俗臭」より 著者:織田作之助
とあるを予期していた。千満子の縁談の相手が伯爵家だときくと、彼女も心安らかに身が引けると思った。最近、男の子を貰い子して二人暮しが三人になり、賑やかになる筈だっ....