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引っきり
「引っきり〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
引っきりの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「豚吉とヒョロ子」より 著者:三鳥山人
青々と流れて、その流れに沿うた道ばたの一軒の家から、最前の鉄槌《かなづち》の音が
引っきりなしにきこえて来ます。 「ヤア。ちょうどいい処にあの鍛冶屋はあるな。よし....
「鰊漁場」より 著者:島木健作
半ば地の底にめりこんででもいるかのように見えた。賑やかな歓声がそのなかの一軒から
引っきりなしにもれてくる。――そこまで来て立ちどまりちょっと躊躇したかに見えたが....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
一つである寺の鐘がさびた音で而もにぎやかに村の上にひびき渡る。遍路が、細い山路を
引っきりなしに鉦をならして通る。幹太郎は、そこで、小さい手を受けて遍路から豆を貰....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
探し当てたタッタ一つの就職口をハガキ一本で断ったりするような、重大な心理の変化が
引っきりなしに起るのは、そうした種々雑多な、無量辺の暗示が、
引っきりなしに吾々の....
「暗黒公使」より 著者:夢野久作
輝いて見えた。 ハンカチの向うの広場には、電車や、人力車や、自動車や、自転車が
引っきりなしに音を立てて通った。オーイオーイと呼ぶ人間の声も聞えた。太陽が明るく....
「冥土行進曲」より 著者:夢野久作
軽く上下に振り動かしている。その頭の上の真暗い空間からは、銀色の小雨が依然として
引っきりなしに降り注いで、場面を一層物凄くしている。 暴力団の中央の無帽の巨漢....
「土鼠と落盤」より 著者:黒島伝治
からは、呻きも、虫の息も、何等聞えなかった。鉄管から漏れる圧搾空気だけがシューと
引っきりなしに鳴っていた。 「これゃ、どうしたってあかん!」 彼は、頭を両肩の....
「源氏物語」より 著者:紫式部
「さあ座敷がかりの童女たち、和琴を持っておいでよ」 この短い言葉の間にも咳は
引っきりなしに出た。尼夫人も女房たちも大尼君に琴を弾かれては見苦しいことになると....
「近藤勇と科学」より 著者:直木三十五
砲は、胆を選り好みしないよ」 「あはははは」 と、大声で笑った。 川堤には、
引っきり無しに、敗兵が、走ったり、歩いたり、肩にすがったり、跛を引いたり――ある....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
、はっきりと、感じる暇もなく――感じるにしては余りに大きく、深く、悲しいことが、
引っきりなしに起って来たので、頭がぼんやりしてしまっていた。
「父の墓」
と、....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
自分のからす凧を手ぢかの金座の烏凧のほうへむけて行き、雁木にからませてグイと
引っきり、スルスルと手もとへひきよせ、つかんで来た烏凧の竹の骨を両手でへしおると....