引っ張る[語句情報] » 引っ張る

「引っ張る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

引っ張るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
愛撫」より 著者:梶井基次郎
てしまった。 元来、猫は兎のように耳で吊《つ》り下げられても、そう痛がらない。引っ張るということに対しては、猫の耳は奇妙な構造を持っている。というのは、一度引....
城のある町にて」より 著者:梶井基次郎
前へ立った。変な切符切りがはじまった。女の子の差し出した手を、その男の児がやけに引っ張る。その女の子は地面へ叩きつけられる。次の子も手を出す。その手も引っ張られ....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
しい若い男の二人連れに摺れ違った。二人は一杯機嫌でお此にからかって、その袂などを引っ張るので、お此はうるさいのと癪に障るのとで、一つ嚇かしてやろうと思って、袂か....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ていた」 「庭から廻って、あの大きい芭蕉の蔭で……。すると、だしぬけに袂を掴んで引っ張る奴があるので、驚いて振り返ると……」 「お鎌婆さんか」と、半七は笑った。....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
と話しかけた。気の急《せ》いているお倉は上《うわ》の空で返事をしながら、婆さんを引っ張るようにして急いで帰った。町内の灯はもう目の前に見えた。 隣り町との町境....
灯台鬼」より 著者:大阪圭吉
、妙なことに、そこにはまた別の、今度はずっと細い紐の先がしっかり撚りつけてある。引っ張る。ところがこれがまたおなじようになかなか長い。やっと全部手繰り終ったわた....
忠義な犬」より 著者:楠山正雄
その中でも、さっきの犬は、あいかわらず気違いのようにほえ回って、主人のすそを引っ張るやら、背中に飛びつくやら、たいそうらんぼうになって、しまいには今にもかみ....
家なき子」より 著者:楠山正雄
も同じように分けてくれた。なるほどときどきはわたしがいやなほど、ひどく乱暴に耳を引っ張ることもあったけれど、わたしに過失があれば、それもしかたがなかった。一|言....
柳営秘録かつえ蔵」より 著者:国枝史郎
んな」 「よし来た」と云って飛び出して来たのは、この界隈の地廻りらしい。 「それ引っ張るぜ、どうだどうだ」 グイと引いたのが自ずと解けて、手拭いには結び玉が出....
銀三十枚」より 著者:国枝史郎
師のな。最初に俺が借りたんだ。そいつをあいつが取っちゃったんだ。あっ痛え! そう引っ張るな! 嘘じゃアねえ、本当のことだ。大馬鹿野郎め、ふん掴まえてしまえ! 引....
書記官」より 著者:川上眉山
様、あれさア、身に染みて聞いて下さいよう。じれッたい。父様ア。とばかり果ては耳を引っ張る。善平はうるさげに、ええ喧ましい、黙っていろ。考えごとの邪魔になる。チョ....
」より 著者:カフカフランツ
に、村長の前ですばやくお辞儀をするのがせいぜいだった。それから彼は、二人の助手を引っ張るようにしながら部屋から出て、急いでドアを閉めた。 宿屋の前では亭....
空中征服」より 著者:賀川豊彦
すよ」 「じゃ、お染久松の死んだ川筋で死にましょう」 こう言うて菊子は、島村を引っ張るようにして網島付近まで歩いて行った。 島村は死ぬことに熱心であった。今....
ひとりすまう」より 著者:織田作之助
とると、サッサと歩き出した。彼女は唇をかみしめてふっと空をみつめたまま、その男が引っ張るのに任せていた。ぼくは呆然として、二人の背後姿を見ていた。 翌朝、トロ....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
くり返りそうになったほどだ。それから私は両親の寝床の間にもぐりこんで、長い白髯を引っ張るやら、皺くちゃの乳房にかじりつくやら、ひとしきり困らしていたようだが、い....