引っ掻く[語句情報] » 引っ掻く

「引っ掻く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

引っ掻くの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
いのちの初夜」より 著者:北条民雄
抜こうとするとまたずるりと吸い入れられる。はや腰までは沼の中だ。藻掻《もが》く、引っ掻く、だが沼は腰から腹、腹から胸へと上って来る一方だ。底のない泥沼だ、身動き....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
る、狐猿も詰め切って――イヤ狐猿は秀子の注意で、箪笥の許へ縛り附けられて再び人を引っ掻く事の出来ぬ有様と為って居る、医者の言葉では、若し今日に成って熱が下らねば....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
夫にむしり付いた。そうして、今度はその着ている物をむやみに引き裂くばかりか、顔を引っ掻く、手に食いつくという大乱暴に、陳もほとほと持て余していると、その騒動を聞....
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
心に不安を覚えるようになった。心の片隅に小鬼でもいて、それが鋭い爪の先で彼の心を引っ掻くかのような、いても立ってもいられないような変な焦燥を覚えるのであった。事....
クリスマス・カロル」より 著者:ディケンズチャールズ
、しかし彼は強欲非道の男であった。このスクルージは! 絞り取る、捩じ取る、掴む、引っ掻く、かじりつく、貪欲な我利々々爺であった! どんな鋼でもそれからしてとんと....
石ころ路」より 著者:田畑修一郎
りになり、いきなり昌さんの肩から衣物を脱がせて、むやみとその胸のあたりを抓るのか引っ掻くのか妙な折檻をする。昌さんの胴の皮膚にはみるみるみみず腫れができた。それ....
二十三番地」より 著者:宮本百合子
髪の毛をむしると女中は歯をむいて奥さんの手と云わず顔と云わずバリバリ、バリバリと引っ掻く。 髪が解けてずった前髪からはモジャモジャな心が喰み出て居るし引きずっ....
運命のSOS」より 著者:牧逸馬
進路《コース》をかえて――と、その時、右舷の叱水線下に、ずずずずずんと重く鈍い、引っ掻くような衝激が伝わった。この一接触で、タイタニックは既に、横に長く船腹の鉄....
茶粥の記」より 著者:矢田津世子
この粉を水に溶く段取りになると、良人は手真似で、太い箸で器の向う側からガクガクと引っ掻くような仕草をする。丁寧にかきまわしたのでは粘りが出て、油揚げの特徴のカラ....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
ブランデル そこらを廻って飛び出して、 どのどぶからも水を飲んだ。 かじる、引っ掻く、家中を。 どんなに荒れても駄目だった。 苦しまぎれに飛び上る。 とうと....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
の互角している剣と剣との対峙に似ている。 「ここだ。寸前だ」 武蔵はまた、山を引っ掻くように、手足をすすめた。 ここでへたばるような弱い意力や体力であるとす....