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引っ込める
「引っ込める〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
引っ込めるの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「女の決闘」より 著者:太宰治
に、この陰気な平地に聳《そび》えている。丁度森が歩哨《ほしょう》を出して、それを
引っ込めるのを忘れたように見える。そこここに、低い、片羽のような、病気らしい灌木....
「三四郎」より 著者:夏目漱石
たような挨拶《あいさつ》が上下で一句交換されると、三四郎は部屋《へや》の中へ首を
引っ込める。与次郎は梯子段《はしごだん》をとんとん上がってきた。 「待っていやし....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
どをしていたが、雨はだんだん強くなるばかりで、家の老婢があわてて軒提灯や飾り花を
引っ込めるようになって来た。町内の家台囃子の音も沈んできこえた。 「こりゃあいけ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ですが、これも普通の錺屋には出来ない芸です。といって、折角評判になったものをただ
引っ込めるのは残念でもあり、人気にもさわるので、講中の人達も頭を悩ました末に、役....
「煩悩秘文書」より 著者:林不忘
えば、もう、この照り返し戦術の用はないと、高笑いを洩らした与助、障子の間から鏡を
引っ込めると同時に、その中庭の向う側の戸を立て切った。 しつこく追って来る光線....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
ので、公は雌黄の水を筆にひたして、その手に大きく自分の書き判を書くと、外では手を
引っ込めることが出来なくなったらしく、俄かに大きい声で呼んだ。 「早く洗ってくれ....
「クリスマス・カロル」より 著者:ディケンズチャールズ
何がしでもその中に握れるような場合に、あの爺さんのようなあんな奴のためにその手を
引っ込めるような、そんな遠慮はしない積りだよ、ジョーさん、お前さんに約束して置い....
「擬体」より 著者:豊島与志雄
こだわるなら、君の気の済むようにしたがよかろう。僕にしても、一旦言い出したことを
引っ込めるわけにはいかないからね。」 「私はスパイ根性が大嫌いです。スパイのまた....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
親分、ちょっくら!」 入口の勘次、声を忍ばせた。はっとした藤吉、あわてて笑いを
引っ込めると、扉の蔭に駈け寄って勘次の肩越し、戸外を窺った。 人眼が怖いか裏口....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
ては薪を加える、パチパチと音して、暫くは白い煙がたつ、パッと燃え上る、驚いて足を
引っ込めるが、またいつか灰の中に入って、足袋の先を焦がすのであった。 小屋には....
「古寺巡礼」より 著者:和辻哲郎
。下から見ると十文字になっています。――わたくしは頓首して、出かかっていた気焔を
引っ込めるほかなかった。 N君は大和の古い寺々をほとんど見つくしていた。残って....
「女の決闘」より 著者:オイレンベルクヘルベルト
木は、大きく、不細工に、この陰気な平地に聳えている。丁度森が歩哨を出して、それを
引っ込めるのを忘れたように見える。そこここに、低い、片羽のような、病気らしい灌木....