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引っ返す
「引っ返す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
引っ返すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
。のみならず皆なぜともなしに黙って足ばかり運んでいた。
「さあこの辺《へん》から
引っ返すかな。」
僕等はMのこう言った時、いつのまにかもう風の落ちた、人気《ひ....
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
いと思っている位であった。 栄之丞のうしろ姿を見送って、次郎左衛門は駕籠の方へ
引っ返すと、治六もいつの間にか駕籠を降りて、不安そうにこっちを窺っていた。 「旦....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
「どうもお邪魔をしました」 半七は銭を置いて寺を出た。 寺を出て上野の方へ
引っ返すと、半七は一人の背の高い男に出逢った。それは松吉という手先で、綽名をひょ....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
りにして、講師は白金の食器を置き忘れたことを思い出したので、ふたたび下山して寺へ
引っ返すと、あたかも檀家で供養をたのみに来ている者があった。他の僧らは講師の顔を....
「三十年後の世界」より 著者:海野十三
思いますが……」 「危険は分っている。しかし火星へ行くのをやめて、このまま地球へ
引っ返すこともできないと、みんなはいうだろう」 「それはそうですね」 「そうだと....
「木曽の旅人」より 著者:岡本綺堂
かの旅人に対して今までのような親しみをもつことが出来なくなった。かれは黙って中へ
引っ返すと、旅人はかれに訊いた。 「今の鉄砲の音はなんですか。」 「猟師が嚇しに....
「白髪鬼」より 著者:岡本綺堂
していると、女中があわてて駈け出して来て、大変だ大変だと言いますから、驚いて内へ
引っ返すと、伊佐子は山岸さんの部屋のなかに倒れていました。」 ほかの人たちは黙....
「異妖編」より 著者:岡本綺堂
ったら、いっそ泊めてもらえばよかった。」と、彼は今更に後悔した。 さりとて再び
引っ返すのも難儀であるので、伊四郎はもろもろの危険を冒して一生懸命に歩いた。そう....
「兜」より 著者:岡本綺堂
落ちのびたが、三河島へゆくことを知らなかった者は、出口出口をふさがれて再び江戸へ
引っ返すのほかはなかった。勘次郎も逃げ路をうしなって、さらに小塚原から浅草の方へ....
「牛」より 著者:岡本綺堂
いる筈はないから、見ないという方が本当らしい。なにしろその牛のために道を塞がれて
引っ返すところを御用。どの道、女づれでは逃げおおせられなかったかも知れないが、こ....
「くろん坊」より 著者:岡本綺堂
て本街道をたどった方がましであったかなどとも考えるようになった。 さりとて元へ
引っ返すわけにも行かないので、疲れた足をひきずりながら、心細くも進んでゆくと、こ....
「恨みの蠑螺」より 著者:岡本綺堂
相手がない。義助もまったく諦めるのほかはなかった。 ここまで来た以上、もちろん
引っ返すわけにもいかないので、茶屋の女房が買って来てくれた血止めの薬で手当てをし....
「慈悲心鳥」より 著者:岡本綺堂
の死骸とバットの箱とを袂に入れて折井君はもう帰ろうと言い出したれば、二人も一緒に
引っ返す。その途中、折井君は予にむかいて「あなたは先月からここに御逗留だそうです....
「停車場の少女」より 著者:岡本綺堂
まいました。 もうこうなると次の列車を待ってはいられません。わたくしは湯河原へ
引っ返すことにして、ふたたび小田原行きの電車に乗りました。 ここまで話して来て....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
れた五人の家来である。主人の命令でやって来た以上、いくら断わっても途中から素直に
引っ返す筈はない。館まで送り付けられたら、おそらく自分は座敷牢、采女と侍従とはそ....