引出物[語句情報] »
引出物
「引出物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
引出物の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
うながした。 「また召そうも知れぬ。その折りには重ねてまいれよ」 忠通は当座の
引出物《ひきでもの》として、うるわしい色紙短冊と、紅葉《もみじ》がさねの薄葉《う....
「幻影の盾」より 著者:夏目漱石
じゃと云うて蝋燭《ろうそく》の火で煮焼《にたき》した珍味を振舞うて、銀の皿小鉢を
引出物に添える」 「もう沢山じゃ」とウィリアムが笑いながら云う。 「ま一つじゃ。....
「蠅男」より 著者:海野十三
場などについて、こまごました注意を与えたのち、 「さあ、これは今夜の、わしからの
引出物や。これを一枚、お前にやる」 と云って、一枚の紙札をくれた。 帆村が何....
「河明り」より 著者:岡本かの子
「全く、お嬢さんでなくても、木ノさんには匙を投げます」と云った。 新造卸しの
引出物の折菓子を与えられて、唇の紅を乱して食べていた雛妓が、座を取持ち顔に、「愛....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
うのこけ猿かどうか、危くなってきた。 そうすると……。 あの、最初に婿入りの
引出物として、伊賀の暴れん坊が柳生の郷《さと》から持ってきたあれも、果たして本当....
「若き日の成吉思汗」より 著者:林不忘
成吉思汗《ジンギスカン》のやつ、蒙古第一の英雄との評判は、真っ赤な嘘だ。降伏の
引出物に、敵将の妻を一夜貸せなどと、見下げ果てた犬侍だ。いや、女の肉に飢えた野獣....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
とになったので、息を殺していると芹沢は、 「いよいよ近藤を片づけたら、次には君に
引出物《ひきでもの》がある」 「
引出物とは何だ」 「兵馬の首だ、宇津木兵馬の首を....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
たしってものをこうしてだしに使っていて、刀を取るが早いか、あたしを棄ててその刀を
引出物《ひきでもの》に弥生さまのところへ納まろうというんでございましょう? そん....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
の丹波の命をうけて供の人数へ紛《まぎ》れこみ、こけ猿の茶壺をかつぎだしたのです。
引出物がなくては、お婿さんの行列は立ち往生。
一同、品川で足どめを食った形。あ....
「母の上京」より 著者:坂口安吾
かねない打ちこみ方になつたから笑はせる。因業爺までウヰスキーを頂戴したり何がしの
引出物にあづかつたりして、幇間なみにへいつくばつてお世辞も云ひ、端唄の二つ三つ無....
「郷介法師」より 著者:国枝史郎
所殿、治部殿、最所治部め! 大馬鹿殿の迂濶者め、郷介これでお暇申す! 将門栗毛は
引出物、拙者この儘頂戴致す。さりとてお礼は申さぬ意、口惜しく思わば取り返しめされ....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
に、何う判断していいか、ぼんやりしていた。兵頭が、立ちかけると、新納が
「兵頭、
引出物を取らそう」
と、叫んだ。
「
引出物?」
兵頭が、新納を睨んで、身構え....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
と、かれは結局多寡をくくって素直にその役目を引き受けることになった。師直は当座の
引出物として、かれに色ある小袖ひと重ねと練絹ひと巻とを取らせた。差しあたっての利....
「役者の顔」より 著者:木村荘八
いとやがて「後悔する」と私など相当はっきりとそう考えたものです。 この旧梨園の
引出物は噂だけで、当時事実とならずにしまい、剰さえ、橘屋その人が、やがて「橘屋」....
「法然行伝」より 著者:中里介山
でございます」 そこで成家が喜んでその僧を客殿へ招き入れ、丁寧にもてなし様々の
引出物を与えることにした。これがその後ずっと元日の吉例になっていたということであ....