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引剥
「引剥〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
引剥の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「運」より 著者:芥川竜之介
すが、こんな財物《たから》を持っているからは、もう疑《うたがい》はございませぬ。
引剥《ひはぎ》でなければ、物盗《ものと》りでございます。――そう思うと、今までは....
「羅生門」より 著者:芥川竜之介
襟上《えりがみ》をつかみながら、噛みつくようにこう云った。
「では、己《おれ》が
引剥《ひはぎ》をしようと恨むまいな。己もそうしなければ、饑死をする体なのだ。」
....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
が、ぬかろうものか、春暖相催し申候や否や、結構なお外套、ほこり落しは今のうち、と
引剥いで持って行くと、今度は蝉の方で、ジイジイ鳴噪いでも黐棹の先へも掛けないで、....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
した、え。 三味線も弾けず、踊りも出来ぬ、座敷で衣物が脱げないなら、内で脱げ、
引剥ぐと、な、帯も何も取られた上、台所で突伏せられて、引窓をわざと開けた、寒いお....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
寒し、着換えるも面倒なりで、乱箱に畳んであった着物を無造作に引摺出して、上着だけ
引剥いで着込んだ証拠に、襦袢も羽織も床の間を辷って、坐蒲団の傍まで散々のしだらな....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
うげす。植木屋だと、じゃあ鉢は要りませんか、と云って手を打つんでげすがな。画だけ
引剥して差上げる訳にも参りませんで。どうぞ一番御奮発を願いてえんで。五銭や十銭、....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
るどころか、対手方に大分の借が出来た、さあどうする。……で、損料……立処に損料を
引剥ぐ。中にも落第の投機家なぞは、どぶつで汗ッかき、おまけに脚気を煩っていたんだ....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
は気が着きませんや。 床屋風情にゃあ過ぎたものを借りやあがった、襖の引手|一個
引剥しても、いっかど飲代が出来るなんと思って、薄ら寒い時分です、深川のお邸があん....
「多神教」より 著者:泉鏡花
神職 じたばたするなりゃ、手取り足取り……村の衆にも手伝わせて、その婦の上衣を
引剥げ。髪を捌かせ、鉄輪を頭に、九つか、七つか、蝋燭を燃して、めらめらと、蛇の舌....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
々の棟は、瓦の牙を噛み、歯を重ねた、その上に二処、三処、赤煉瓦の軒と、亜鉛屋根の
引剥が、高い空に、赫と赤い歯茎を剥いた、人を啖う鬼の口に髣髴する。……その森、そ....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
に掛って、すっと留まったのを、貴婦人の手が下へ押下げると、見る目には苛らしゅう、
引剥ぐように思われて、裏を返して、はらりと落ちて、腰帯さがりに飜った。 と見る....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
て、例の大船で一艘積出す男は、火のない瀬戸の欠火鉢を傍に、こわれた脇息の天鵝絨を
引剥したような小机によっかかって、あの入船帳に肱をついて、それでも莞爾々々してい....
「明日」より 著者:井上紅梅
知しない。王九媽達は面倒臭くなり、終いにはむっとして、棺桶の側から彼女を一思いに
引剥がしたから、そのお蔭でようやくどたばたと蓋することが出来た。 しかし單四嫂....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
たと聞いて、一枚ぐらいはドコかに貼ってありそうなもんだと、お堂の壁張を残る隈なく
引剥がして見たが、とうとう一枚も発見されなかったそうだ。 だが、椿岳の市価は西....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
人ならば無論仲働きお酉の顔を知って居る故、夫で秀子を此の人に見せ、爾して化の皮を
引剥《ひんむ》くと云う積りである、其の執念の深いには驚くが、夫にしても秀子が此の....