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引取る
「引取る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
引取るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
食糧や衣服の配給所でもない。唯此処に住んでいれば、両親は子供の成人と共に必ず息を
引取るのである。それから男女の兄弟はたとい悪人に生まれるにもしろ、莫迦には決して....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
地方が不作なために結実がなかったので、亜麻種《あまだね》を非常な高値《たかね》で
引取る約束をしてくれた。仁右衛門の懐の中には手取り百円の金が暖くしまわれた。彼れ....
「十八時の音楽浴」より 著者:海野十三
よ。索敵戦隊は予備隊として待機を命ずる」 二人の戦隊長はスクリーンの中で、息を
引取る魚のような表情を固化した。ミルキ閣下はああとうめいて、長椅子の上に堂と身を....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
った隅の方から、声を懸けた人がある。 「あの……」 「夜伽じゃないか。」と民弥が
引取る。 「ああ、そうよ。私は昨夜も、お通夜だってそう言って、才ちゃんに叱られま....
「鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
であったのだ。その便宜とは、もちろん署から疑いを持たれることなしに、博士と鞄とを
引取ることにあった。 こうなると目賀野という人物は、なかなか油断のならない重要....
「地獄の使者」より 著者:海野十三
が持って来たものに相違ないといって居ります。それは午後九時、家政婦が地階の部屋へ
引取る前に、用意をして銀の盆にのせて持って来たんだそうです」 検事は引続き軽く....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
有がりましたのでござります。 公子 (微笑す)親仁の命などは御免だな。そんな魂を
引取ると、海月が殖えて、迷惑をするよ。 侍女五 あんな事をおっしゃいます。 一同....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
出て行けとは無慈悲で言われぬ。ただし廂を貸したものに、母屋を明渡して嫁を隠居所へ
引取る段は、先祖の位牌へ申訳がない。私等が本宅へ立帰って、その嬢様にはこの隠居所....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
すよ。あんな、美しい、柔軟な、艶の可い髪は見た事がないってね、――死骸を病院から
引取る時も、こう横に抱いて、看護婦が二人で担架へ移そうとすると、背中から、ずッと....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
若山は静かに目を眠ったまま、 「どんな処ですか。」 「蛍の名所なのね。」とお雪は
引取る。 「ええ、その入口迄は女子供も参りまする、夏の遊山場でな、お前様。お茶屋....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
というにも、種々ありますが、訳は分らず、しかもその苦悩が容易じゃない。今にも息を
引取るか、なぶり殺しに切刻まれてでもいそうです。」 「やあやあ、どちらの御婦人で....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
うして居りまするか?』 答『しばらくは母親の手元に置かれるが、やがて修業場の方で
引取るのじゃ。』 問『何ういう訳で池を修行場にしてあるのでございますか?』 答『....
「沼畔小話集」より 著者:犬田卯
姿を見せなかった。隠居家にひとり佗びしく生きていた老母――彼女の実の母――が息を
引取る時も、旅にいてなんの世話もしなかった。東京で酒屋の小僧をしている息子が、ひ....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
して、不参、欠席のことわりを言うのである。 思っても知れよう、これをそのままで
引取る法があるものか。 推し返す、遣返す――突込む、突放す。引立てる、引手繰る....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
落されたように――且つ器械を検べようとする注意だと思ったように、ポカンと渡すと、
引取るが疾いか、ぞろりと紅の褄を絞って小褄をきりきりと引上げた。落葉が舞った。※....