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引幕
「引幕〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
引幕の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「家」より 著者:島崎藤村
頃であった。テエブルの周囲に腰掛けるやら、金庫の前に集るやらして、芝居見物の話、
引幕の相談なぞに疲労を忘れていた。煙草のけぶりは白い渦を巻いて、奥の方まで入って....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
一
中村座の菊之丞一座の人気は、日ましに高まるばかりだった。飾り布団、
引幕飾り、茶屋の店さきほどの家も、所せまいまでに送り込まれて、下ッぱの役者までが....
「夢鬼」より 著者:蘭郁二郎
「そ、そうですが……」 (怪訝しいな、成程、親方のいう通り、あの天井からは、恰度
引幕の陰になって見えない筈だ――) 黒吉は、一生懸命に、考えを引纏めようとした....
「細木香以」より 著者:森鴎外
に網打七五郎の事を併せて作ったものである。香以は河原崎権十郎、市川小団次の二人に
引幕一張ずつを贈り、芸者おさんに扮した市川米五郎と桜川善孝に扮した中村鴻蔵との衣....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
きめる。 二絃琴を拡《ひろ》めようとする気持ちと、おしょさんの派手ずきとから、
引幕《ひきまく》を贈ることもあった。藤の花の下に緋《ひ》の敷もの、二絃琴を描いて....
「妾の半生涯」より 著者:福田英子
叮嚀《ていねい》なりしが、ある日|特《こと》に小介《こもの》をして大きなる新調の
引幕《ひきまく》を持ち来らしめ、こは自分が自由民権の大義を講演する時に限りて用う....
「竹本綾之助」より 著者:長谷川時雨
しばじゃく》(後に雀右衛門)を従兄妹《いとこ》にもっていたので、東上のおりには、
引幕を遣《おく》ったり見連《けんれん》を催したりする、彼女の生活の色彩は、いよい....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
目次 小序 守田勘弥 新富座の大岡政談――元園町の草原――長唄と常磐津の挟み撃ち――外国人の
引幕――風月堂の西洋菓子 新富座見物 左団次の渥美五郎――劇場の福草履――島原の....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
ず。 拍子木《ひょうしぎ》の音《おと》と幕明《まくあき》の唄《うた》とに伴ひて
引幕《ひきまく》の波打ちつつあき行く瞬間の感覚、独吟の唄一トくさり聴《き》きて役....
「梅雨晴」より 著者:永井荷風
夢之助と名乗って前座《ぜんざ》をつとめ、毎月師匠の持席《もちせき》の変るごとに、
引幕を萌黄《もえぎ》の大風呂敷《おおぶろしき》に包んで背負って歩いた。明治三十一....
「すみだ川」より 著者:永井荷風
に戻ろうと右方左方へと混雑している。横手の桟敷裏《さじきうら》から斜《ななめ》に
引幕《ひきまく》の一方にさし込む夕陽《ゆうひ》の光が、その進み入る道筋だけ、空中....
「深川の唄」より 著者:永井荷風
りには、松竹《まつたけ》の注目飾《しめかざ》り、鬼灯提灯《ほおずきちょうちん》、
引幕《ひきまく》、高張《たかはり》、幟《のぼり》や旗のさまざまが、汚《よご》れた....
「明治演劇年表」より 著者:岡本綺堂
の翻案「人間万事金世中」、大入りにて、六十余日を打ち続け、京浜在留の外国人より、
引幕を贈りて総見物あり。 ○五月八日、初代市川女寅死す、二十八歳。容貌技芸共にす....
「性に眼覚める頃」より 著者:室生犀星
きをやっていた。女は私の目にも判るほどおろおろした、落ちつかない様子で、ぼんやり
引幕をながめたり、また急に表の方を気にしたりしていた。それらの態度の狼狽えた内気....